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蜂蜜エッセイ応募作品

花とミツバチ

磯部隆

 

 春の野原をゆく。
 空から舞いおりて来た蝶が花びらにまぎれ、ぶんぶん羽音を立ててハチたちも花とたわむれる。
 蝶やハチたちの眼に花 々はどのように映っているのだろうか。単眼か複眼か、よくは知らないけれども、緑の野に浮かぶ色とりどりの花 々は、遠くからひきつける美しさそのものなのだろう。
 花 々の方も蝶やハチたちを招くために、せいいっぱい装い、たがいに競っている。
 奇妙な疑問が湧く。――するといったいどういうことなのだろう、なぜ自分たち人間の眼にも野の花 々はこれほど美しく見えるのだろうか。
 花 々の恋人は蝶やハチたちである。花と花との愛が成就するためには彼らの仲立ちが必要だ。かくして美と愛の世界が野原に立ちあらわれる。私たち人間は決して花 々に招かれているわけではない。それなのに名も知らぬ花 々の美しさよ。
 しばらくの間、宇宙の神秘を前にしたかのように、ふしぎな気持でぼうっと野原に立っていた。
 やがて何の脈絡もなく、とうとつに、ハチミツの濃密で甘美な味わいが思い出された。その一瞬、すべての疑問がきれいに消えてしまった。
 蝶やハチたちと花 々との交わりは、宇宙(大自然)のいのちの営みの大切なひとこまである。私たち人間も、その大自然の内側にいて、めぐみを受け生かされている。だから蝶やハチたちと花々との織りなす愛と美の世界は、私たちに無縁のことではない。私たちにとってさえも花 々が美しく見えることに何もふしぎなことはない。すべてが大自然のいのちの営みのもつ美しさなのだ。
 ひとり納得して、また野原を歩いてゆく。

 

(完)

 

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