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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ぶんぶんぶん

興村俊郎

 

 学校行事として、「ぶんぶんぶん」の曲に合わせて演技することになりました。小学3年生の頃でした。生徒が蜜蜂に扮するため、親たちは放課後、教室に集まって翅を作ってくれました。
 厚紙に絵の具で翅を模して描き、鋏で形を整え、腕にゴム紐で取り付けられるようにしたもので、長さは腕が隠れるほどです。
 付けてみると、このまま飛べるのではないかと思うほどでした。本当に飛べると思ったわけではないのでしょうが、何度も羽ばたいて飛ぶ真似をしました。高いところから飛んだりもしました。やがて、生徒みんなが群になって走ったり飛んだり、騒がしいこと蜂の巣のようになりました。
 このときの翅は、母が作ってくれたもののなかで、いちばんうれしかったもので、鮮明に覚えています。
 大人になってから気づいたのですが、あの曲の歌詞にはどこにも蜜蜂と書かれていません。
 なのに、翅のおかげで蜜蜂と思い込んでいました。
 「おいけのまわりに のばらがさいたよ」「あさつゆきらきら のばらがゆれるよ」と歌詞はありましたが、いちども野薔薇を見たこともありません。たぶん、飛べない私はこれからも見ることはないでしょうが、楽しかったあの思いは、いつも気持ちの中で飛び回っていて、思い出すたび私を元気にしてくれます。

 

(完)

 

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