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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜蜂に関する蘊蓄

飯上幾良

 

 小学3年生のとき蜜蜂に刺された。蜂に刺された初めての経験。左手の小指だった。蜜蜂の身体はポロリと落ちたが、針は深く刺さったまま抜けなかった。子供心で思った。「この後、針は血管に入り血液の流れに乗って心臓まで運ばれ、心臓に突き刺さるのではないか。そして心臓に穴があいて、自分は死ぬに違いない」と。数日間、死の恐怖に怯えていた。あの日から40余年、予想に反して今だにこうして生きている。
 古代ローマでは、蜜蜂は「最高の創造者」と賞讃されていた。日本人は蜜蜂的といわれて久しい。だが思えば、外で額に汗して文字通り飛び回っている蜜蜂は、皆女性だ。日本人を蜜蜂と喩えた人は、現代日本の“家の外で働く女性”の出現を予見していたのかと思うは、些か飛躍しているか。けれど働く蜂に繁殖能力は無く、子孫を残す業務に携わるは女王蜂のみ。社会性の発達した蜜蜂ですら、労働と繁殖を分業しているのだ。この両立は相当難儀だと察せられる。果たして万物の霊長たる人類に、この難題の克服は可能か。日本に棲む蜜蜂は、日本人的な性質をもっていると思う。日本人的な性質とは、一人ひとりは弱いが集団になると強いというもの。日本蜜蜂も集団戦法を採る。雀蜂に巣を襲われると、集団で挑む。一匹の雀蜂に何匹も取り付き、蜜蜂団子と化す。そして一斉に翅を動かす。団子は一気に熱を持つ。熱に弱い雀蜂は、その熱で死んでしまう。この戦法で雀蜂を撃退する。犠牲は出るが、巣の壊滅は免れる。欧羅巴に棲む西洋蜜蜂は、これとは対極的な戦法を採る。雀蜂に一騎討ちを挑むのだ。だが力の差は歴然。西洋蜜蜂は次 々と倒され、巣は壊滅する。小生、西洋蜜蜂のこの姿に、鎌倉武士の様式美をみる。西洋蜜蜂に鎌倉武士を感じるとは、おかしな話だ。けれど、日本蜜蜂に武士的なものを感じないわけではない。こちらには、武士は武士でも集団戦法を得意とする足軽の姿を想像するのだ。

 

(完)

 

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