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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

ハチミツ入りのお茶

金谷祥枝

 

 祖母が寝たきりになり十数年経った頃、食事が全く摂れなくなった。心配した母は主治医が往診に来た時に点滴をしてほしいと頼んだ。しかし食事が取れなくなると点滴も難しくなる。祖母の体調はどんどん悪くなっていった。祖母がまだ話せていた頃、母に向かって「わしはもう年病みだから長くない。治療もしたくない。」と話していたという。主治医からも点滴は、わずかの水分を補給するだけだと言い、痛がる点滴よりも欲しがるものを口から食べさせた方が良いと言った。水分補給にお茶を飲まそうとすると、口から吐き出し飲み込もうとしない。祖母は元気な頃から水分はあまり飲まないが、美味しいお茶菓子があるときだけは上等の煎茶を入れていたことを思い出し「甘かったら飲むかも」と母と相談し湯飲みのお茶の中にハチミツを入れてみた。最後の1ヶ月は飲み込む力がなくなり、顔色も悪く唇と口の乾燥がひどかった。私の人差し指にハチミツをのせ祖母の唇にハチミツを置くようになぞる。ハチミツを入れたお茶にガーゼを浸し私の指に巻いて口を湿らせる。そうすると唇に艶が出て少しだけ顔色が良くなったように見える。お茶にハチミツを入れた時、ゴクゴク音を立てて飲んでくれてホッとした。亡くなるまでの3ヶ月間祖母はハチミツ入りのお茶だけで生きていた。亡くなってから数年経った今でも、実家のテーブルの上に置いてあるハチミツを見るたび祖母のことを思い出す。

 

(完)

 

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