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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

都会のハチミツ

ホタテ

 

 「子どもの頃、うちの近所に養蜂所があったんだ」と話すと、だいたい「え?出身どこ?」と訊かれます。自然に囲まれた環境かと思いきや、実は私は東京の新宿区出身なのでした。
 
 新宿区はずれにある古い洋館、明治時代に建てられたドイツ人建築家の家だったというその建物に足を踏み入れると誰もおらず、あたりはシーンとしています。ハチミツはどこで売ってるんだろう?とうろうろする私。庭に向かうとおじさんがいて、たくさんの木箱が並べてありました。ブンブンと音を立ててハチもたくさん飛んでいます。
 一瞬、私は行ったこともないヨーロッパのどこかにいるような気持ちになりましたが、目の前にいるおじさんは日本人そのもの。なんとも不思議な気分です。ハチミツを買いに来たことを伝えると、色 々な種類を持ってきてくれました。こんな都心でどうしてハチミツが採れるんですか?と私が素朴な疑問を投げかけると、おじさんは「このへんは都心でも緑が多いんだよ。皇居とか赤坂御所とかもあるからね」と言いました。たしかに、ハチならば、人が入れない場所でも出入り自由だなと納得しました。皇居には色 々な草木が植えられていると聞きます。そこにブーンとハチたちが飛んでいって蜜を吸ってるかと思うとなんとも愉快な気持ちになりました。
 
 その後、私は家を出て一人暮らしをはじめ、ハチミツのこともおじさんのことも忘れていて、十年近くが経過。ふと思い出して買いに行ったところ、建物がない。あれ?このあたりだったはずなのに、すっかり変わった景色に困惑しつつ、近所の人に訊くと、あの素敵な洋館は東京都によって移築されたとのこと。おじさんやハチは?あの養蜂所はどうしたんですか?と訊くと、引っ越しして東京の郊外で続けてるみたいよ、とのことでした。少しさみしい気持ちになりましたが、その郊外でおじさんとハチが元気だといいなと思っています。

 

(完)

 

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