はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

犬と蜂蜜

ガスペリーニ真央

 

 日本から遠い異国で暮らすこととなったわたし。ことばが通じない孤独は心にじわりじわりと薄暗い点をつくり、所 々にできたその点が大きく育っていった。そんな頃に、わたしは一匹の犬を保護することにした。まだ2ヶ月の小さな小さな捨て犬だった。卓球玉くらいしかない顔に大きな目。この世界をとことん見ようという意思に満ちていて、それでいてわたしから全く離れようとしない温かさがあった。大切な家族の一員になった。
 彼女との暮らしを始めてからは、まるで子育ての日 々。トイレの場所を根気よく教え、今何を必要としているのか何を欲しているのか、お互いに分かりあおうと努力する毎日だった。そこには通じないことばは無意味だった。心があればそれでいい。わたしの気分が落ちている時には、人以上にわたしを心配して顔を一生懸命に舐めまくった。心の薄暗い点が一つ、そしてまた一つと消えていった。
 ある冬の日、彼女の咳が止まらなかった。風邪でも引いたのだろうか。不安になったわたしは、彼女のかかりつけの動物病院で検診を受けさせた。問題はないとのことだったので一安心だったが、先生は彼女に蜂蜜を少しづつ舐めさせるように勧めた。これには驚いた。犬も喉が痛ければ、蜂蜜が効くという。それからは、思い出しては手に蜂蜜を取り、彼女に舐めさせてあげた。咳は徐 々に治まったが、喉の弱い彼女のための特効薬となった。
 ことばが通じなくても、わかりあえる関係がある。蜂蜜を舐めながらわたしを見つめる目は、ありがとうと言っているようで、その愛らしさに心が打たれた。
 わたしはこれからも彼女に必要な蜂蜜を与えつづけようと思う。

 

(完)

http://maoitalia.blog.fc2.com/

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

はちみつ家メニュー

Copyright (C) 2011-2018 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.