種部六花
昨年のことですが、わたくしは資格試験の勉強をしていました。不動産関係の国家資格で合格率が十五 %ぐらいのものです。
普段、文化施設で管理関係の仕事をしていますが、この資格が必要というわけではなく、似たような業種だったので教養を高めるために勉強を始めたのです。
試験日は十月中旬でしたが、不動産に関してはほとんど知識がなかったので、年初から準備を始めました。
当初は仕事を終えたあと勉強をしていたのですが集中力が続かず、仕方なく起床時間を1時間早くして勉強することにしました。
幸いにも、職場の近くに早朝から営業している喫茶店があったので、モーニングセットのサンドイッチとコーヒーを口にしながら勉強しましたが、朝は朝なりに眠気が襲ってきてついウトウトしてしまいました。
ですがそんなある日、いつものようにモーニングセットを注文すると、近くの棚にガラスの容器が置かれているのに気がつきました。それはハニーディスペンサートと言われるもので蜂蜜を入れる容器でした。
それまで蜂蜜をコーヒーに入れたことはありませんでしたが、興味本位で試しに入れてみました。
すると口に含むやいなや、まるでお花畑が口の中に広がるような芳醇な香りと甘味が口一杯に広がりました。しかも眠気覚ましにもなって、勉強に集中することができました。
その日以来、毎朝、コーヒーに蜂蜜を入れるようになりました。出勤日以外でも、自分で購入した蜂蜜を入れるようになりました。
やがて月日が経ち、試験日になりました。もちろんその日も蜂蜜入りのコーヒーを飲んでから試験会場へ向かいました……。
試験の結果は初めてのチャレンジでしたが、運良く合格することができました。
これも、疲れた心と身体にエネルギーを与えてくれた蜂蜜のお陰だと思っています。
蜂蜜を届けてくれた蜜蜂たちに、今でもとても感謝しています。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.