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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

箱とはちみつ

おちなおこ

 

 小学生だった私たちの隠れ家があるところ、住宅地の裏山のミカン畑に、その木の箱は置かれていた。農作業用の小屋裏のすみに、引っ越し用ダンボール箱くらいの大きさの箱が三つ四つ。夏にむかって畑にはたくさんの虫が飛び交っていて、私たちは箱に行き来する生き物に、気をとめていなかった。他のことにいろいろ、忙しかった。
 そしてその箱は、本格的な夏の始まるある日なくなっていた。
 それがみつばちの巣箱で、ミカンの花が咲いている間、その蜜を集めるために置かれているのだと、大人が教えてくれた。箱が消えてしまったのは、またどこか、花が咲くところに人が運んでいったからなのだ、と。
 …こんどはどこに行ったのかな、何の花かな。みつばち達は、そこでまた、ぶんぶんとんで花と巣箱を行ったり来たり、働いているのかな…。
 こどもの私は、みつばちのゆくえに思いをめぐらせた。
 
 大人になってから、帰省すると「これミカンのはちみつね」と、時 々小瓶をお土産にもたされる。すっきりした甘味の、さらさらとしたはちみつ。
 戻った都会で、初夏の風味の蜜を味わう。
 みつばち達は、今日もせわしく、巣箱と白い花の間を行き交っているのだろう。

 

(完)

 

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