清水優子
 いつの頃から覚えたのか
   誰から教わったのか
   ほんの小さな子供の頃  小学校にあがる前
   ものごころがついてから 何度目かの春、
   咲いてる れんげの花をひきぬいて、根元をなめるという遊び、みんなやっただろうか?
   花びらの根元の蜜は それはそれは甘かった。
   私はその甘みが とっても好きで いつもペロペロなめていた。
   引き抜いてなめ、なめては捨てる。引き抜いてなめては捨てる。
   なんてお行儀が悪いのだろう。
   周りの子もみんなやっていたのだから、ポピュラーな遊びだったのだろう。今の子はこんなのやるんだろうか?
   花畑で花の蜜…とても楽しい時間だった。
   
   その後、小学生になってから
   ”蜂蜜”が食卓に上がった。
   その頃の私のイメージでは 蜂蜜は超高級の食品だった。何と言っても 超甘いのだ。
   初めての蜂蜜はパンの上だ。
   とろ~りと のせられパンの端からポトリ、と落ちる…
   その蜂蜜は濃くて とても綺麗な琥珀色をしていた。
   蜂蜜とパンの境目がなぜかカリッと かたくなる…
   その甘みは、どんな食べ物よりも甘かった!
   
   あんなに小さな花の小さな蜜が集まって
   こんなにたくさんの蜂蜜になるとは…
   子供心にそう思ったのだった。
   
   子供のくせに蜂蜜に 悠久の時を感じてしまったのだ。
   小さな湧き水が集まって 大河になるみたいな。
   その壮大さにびっくりしたのだった。
   蜂蜜ってすごいな。
(完)
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