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蜂蜜エッセイ応募作品

ホットミルク

月裕シンド

 

 中学の受験生だったあの頃の冬、時間がない自分の毎日が、勉強という言葉と共に、机に向かっていた。時に夜更かしもしながら、勉強をする。
 つらいと感じ、逃げ出そうかと考えたこともある。
 ある時、勉強をさぼって、漫画なんかを読んでいた自分の部屋に母が入ってきた。
 「受験勉強、頑張ってる?」
 母はそう言って、机の上に、はちみつ入りのホットミルクを置いてくれた。
 「今年は冷えるっていうから、つらいかもしれないけど、頑張れ」
 笑顔で、応援してくれた。それから、何も言わず部屋から出ていった。
 自分は、漫画を置いて、ミルクが入ったカップを両手で持った。
 少しずつ、口に入れ、ほっと溜息を吐く。
 「勉強……。頑張ろう……」
 ホットミルクは、暖かく、そして甘く、自分の疲れを癒した。
 同時に母から元気をもらった気がした。
 
 あれから、月日が経ち、今は、親元を離れて暮らしているが、自分が疲れたとき飲む物は決まってはちみつ入りのホットミルクになった。
 この暖かさと甘さは、母がくれた優しさ……。
 「さて、今日も頑張るか」

 

(完)

 

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