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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

白い蜂蜜

鈍行庵

 

 「ねぇ、また固まっちゃった。」
 冬になると毎年必ず聞こえてくるツレアイの言葉だ。食パンに蜂蜜とホイップクリームを付けて食べるのが朝食の定番なのだが、寒くなってくるとその蜂蜜がだんだんと結晶化して固まっていく。そのうちに、そのプラスチック製のボトルをいくらひっくり返しても、押し出そうとしても、真っ白に固まってビクともしなくなる。定番の朝食が食べられなくなるという、我が家の危機が訪れるのである。
 
 「ねぇ、溶かして。」
 と言われて突き出された、中身の白くなったそのボトルを眺めながら、私はふと幼い頃の事を思い出した。
 
 その頃、時折母が
 「これ舐める?」
 と言って、スプーンで掬って食べさせてくれたのが、結晶化してザラザラになった白い蜂蜜だった。通常の溶けた蜂蜜をそのまま舐めると子供の舌には甘みがきつ過ぎるのだが、結晶化すると甘みが若干抑えられ、しかも固体なので、少しずつ量を調節しながら舌に乗せてじっくりと味わうことができる。固体の食感も相まって、パンもホットケーキもヨーグルトも何も要らずそのままで十分食べられる、立派なおやつであった。今から思えば、母からすれば、結晶を溶かす前に子供にちょいと与えておける、手軽で安上がりなおやつ代わりだったと思うが、私からすれば、冬のその時にしか味わうことのできない、嬉しいご馳走だった。
 
 「ねぇ、早く溶かしてよ。」
 という声に我に返った私は、そう言えば大人になってから舐めてないな……、とつぶやきながら、その白い結晶をほんの少し舌に乗せ、ボトルを湯煎にかけた。

 

(完)

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