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蜂蜜エッセイ応募作品

ルーマニア思い出話

前田はるよ

 

 「Stork! ストークって何?」
 初めてのルーマニアで「ドラキュラ伯爵」のモデルになったブラン城へ行くときだったのか、記憶は定かではない。英語が堪能な妹でもなじみのない言葉を日本人添乗員が叫んだ。「コウノトリだ!」団体のツアーバスの中が騒然とした。ルーマニアの典型的な家 々を通り過ぎる、ある村のことだ。車窓から村の家 々に目を凝らすと、煙突の上などにコウノトリが巣を作っている。しかもあっちでも、こっちでも。
 コウノトリは、春の始まる頃にルーマニアへやって来るそうだ。そして、小枝やアシの茎、芝や植物の根、土などを使って巣を作るという。高い木の上や、電柱にも作るようだが、私たちは、家の煙突や屋根に上に作っているのを見た。その後、どの村でもコウノトリや巣を見かけた。
 ヨーロッパでは、「赤ん坊はコウノトリのくちばしで運ばれてくる」というおとぎ話で聞いたことがあるが、確かに赤ん坊を運べるほど大きな鳥だ。カラスより大きく、ツルほどだろうか。
 ひと騒動が終わった後、バスは路上に急ごしらえしている屋台の前で予告なく停まった。「はちみつやだ」これはすぐにわかった。予備知識のある参加者は「あの人にはこれを」などと大小の瓶を早 々と品定めしている。
 妹と私は事前勉強を全くしない、のんきな海外団体旅行だ。「『地球の歩き方』に確かにはちみつのことがでている」と確認した。バスを降りると、すでにご近所の分も買い終えた方たちに「安いわよ」と。
 日本語が少 々できるオーナーとひやかしながら我が家の分だけ買った。有名なブラン城よりも、コウノトリと路上のはちみつやがルーマニアの一番の思い出の映像として残っている。

 

(完)

 

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