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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

いのちをもらって

雛緒菜

 

 人間関係や勉強、家事などに疲れて行き詰まったとき、お気に入りのティースプーンに一杯だけ、はちみつを垂らす。それを口に運ぶとやさしい甘さと幸せが広がり、少しだけ肩の力が抜ける。日によってアカシア、レンゲ、クローバーなどはちみつの種類を変えて、異なる風味を楽しんでいる。あまりのおいしさにいつもあっという間に食べ終わる。その幸せがくせになり、またはちみつに手を伸ばした瞬間、蜜蜂一匹が一生をかけて集めるはちみつはティースプーン一杯分だと思い出し、はちみつを棚に戻す。
 「ごちそうさまでした」
 蜜蜂一匹分の命にていねいなお礼を言うと、その分自分もていねいに生きていかねばと未来に思いを馳せる。
 震災から約2年が経ち、震災発生当時には様々なものに助けられ、生かされている実感が強くあったのに、時間とともに苦しみばかりをより強く実感するようになっていた。そんな生活の中で食べることが最も私を支えてくれた。地震への恐怖で眠れない夜にはホットミルクにはちみつを混ぜて飲むと、ほっとしてなぜかすぐに眠りに落ちた。
 はちみつを食べるとやさしい甘さに心まで癒され、今までより少しだけ思いやりをもてる気がする。そして今はもう、震災の影響で利用できなくなってしまった母校の教室によく蜂が迷い込み、混乱の中でも授業が進められていく懐かしい光景を思い出すことができる。震災当時手をさしのべてくれた人に、はちみつに、蜜蜂さんにも、たくさんのありがとう。

 

(完)

 

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