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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

はちみつの実

あめちゃん

 

 「ハチミツって木になってるんだよ。」真剣な顔で従妹が言った。かわいいゆきちゃんは6歳年下の年少さん。ゆきちゃんのお姉ちゃんがせせら笑った。「ばっかねえ。そんなことあるわけないじゃん。」「ハチミツは木にはならないんだよ。蜂が花の蜜を集めてきてつくるんだよ。」小学生になって威張り始めたお兄ちゃんにまで言い立てられて、ゆきちゃんの目に涙が浮かんできた。「でも、ゆきちゃんゆめでみたもん!」
 地味で陰気な従妹のお姉ちゃんである私は、次に遊びに行く時には「ハチミツの実」を作って持っていこうと決意した。
 キャラ弁に慣れている今のお母さん方は想像もつかないだろうが、昭和のお母さんは「食べ物で遊ぶんじゃありません!」が口癖だった。だから私がアポロチョコレートをピンクと茶色にわけて、溶かして成形してうさぎを作るとか、バタークリームのケーキの上に砕いたマーブルチョコレートでモザイク画を完成するなんて言うのは決して大人に知られてはいけない危険な遊びだったのだ。いつもなら誰にも見せないこの遊びを今回はゆきちゃんに捧げてみようと決心した。
 駄菓子屋さんで安物の小さなシュークリームのお菓子を買ってきた。クリームを入れる小さな穴にストローをさし込み中のカスタードクリームもどきを吸い取る。そこから絞り出し袋でハチミツを入れてみた。失敗。だらだらと垂れてきてどうにもならない。今度はチョコレートを溶かして少しずつ流し込み、ゆらゆら揺らして内側をコーティングしてみる。乾くのを待って入れてみると、今度はうまくいった。口に入れてかみしめるとシュー生地の中からじゅわっとハチミツが出てくる。
 「なんだよこれ、つくりものじゃん!」と生意気な1年生が言うから、じゃああげない、ゆきちゃんだけあげるといったら今度はゆきちゃんが涙をためて「お兄ちゃんとお姉ちゃんにもあげて」って言う。ハチミツより優しいゆきちゃんの思い出。

 

(完)

 

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