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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

孫と遊べば

奥津 博士

 

 「おじいちゃんクマがいる」
 孫と二人で郊外にある草原に虫取りに行ったときのことだった。
 「どこ」
 私は慌てて車の窓を全て閉めてドアロックを確認した。
 「あそこ、あそこ」
 孫の指差す方向には山に寄り添う平地が広がりそこに数人の養蜂家と思われる人が屈んで作業をしているだけ。どうやら孫の座高では道端の草越しには養蜂家の背中がノソノソと歩くクマに見えたようだ。私は孫を助手席に立たせて養蜂家の背中だと説明した。
 「おじいちゃん、あのおじさん達になしているの」
 「ハチミツ屋さんだと思うけど。あの四角い箱が巣箱だと思うよ」
 「ハチミツって母ちゃんがホットケーキに掛けてくれるやつ」
 「そうそう」
 車は細い砂利道を展望台駐車場へ向かって登って行った。
 駐車場から続く広い草原は冬の間はスキー場として使われ一面にクロバーが咲き多くの子供達が虫取りを楽しむ場となっている。
 「僕も行く」
 虫取り網を持って飛出して行くと直ぐに虫取り仲間と一緒にチョウを追いかけ始めた。
 私は孫の姿を目で追いながらスマートホンで「蜜蜂」について調べてみた。
 「おじいちゃん、これハチ」
 花に留まっていたチョウと一緒に網に入ったと言う。私達は蜂に刺されないように、潰さないように観察を始めた。
 「おじいちゃんどこにハチミツついてるの」
 「この黄色いのが花粉。これを付けたまま巣に戻ってハチミツに変えるらしいよ。それと花粉を集めるハチは全部お母さんなんだって」
 「へー。お父さんは」
 「巣の中で女王様を守っている」
 それにね、私は覚えたての蜂知識を孫に教えた。
 「スプーン一杯のハチミツを作るのに二千匹位のハチが花粉を運ぶんだって」
 「二千匹。すごーぃ」
 「さぁ、お母さんハチを巣箱に帰してあげようね」
 虫取り網の口を開いて網の底をポンと孫が叩くと蜂は勢いよく飛び立っていった。
 「ただいま。母ちゃんホットケーキ作って。あのね」
 おやつを食べる孫の大きな声が家じゅうに響いた。

 

(完)

 

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