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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

Honey of crystal

飛鳥

 

 はちみつが白く固まってしまうのは、大抵の場合、冬だ。
 私はこの、ガラス瓶の中の結晶を幼いころに初めて見た。
 あんまり珍しいものだから、そこにいた母をつかまえてこう言った。
 「はちみつにも冬が来るんだね!」
 母は笑いながら教えてくれた。
 「これは、はちみつの結晶だよ」
 私はスプーンで一口すくって食べてみた。
 何とも、ザリザリとした独特の風味がした。
 「おいしくないでしょ」
 と、茶化す母に私は何故か意地になって、
 「おいしいもん!」
 と答えた。
 だが、このあと食べるために用意してあったホットケーキの生地を見つめると、あのザリザリが何回も続くのは流石に嫌だと思った。
 正直に、
 「やっぱりトロトロのほうがおいしい」
 と認めると、母はそれ見たことか、という表情で鍋を取りに行った。
 鍋にお湯を沸かし、はちみつの瓶ごと湯煎にかけ始めた。
 さっきまでの真っ白いはちみつが、まるで魔法のようにトロトロに輝いては溶けてゆく様子に、私は釘付けになってしまった。
 そのあと、たっぷりのはちみつをかけたホットケーキの美味しさは、三〇年たった今でも忘れることができないほどだった。
 大人になった現在も、旅先ではちみつを見つけると、つい買ってしまうこともしばしばある。
 あの時のはちみつの結晶のおかげで、私は前よりもっとはちみつが大好きになった。

 

 

(完)

 

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