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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

わたしの金色の魔法

みきけいこ

 

 子供の頃に、本で読んで憧れた蜂蜜の食べ方がある。ミヒャエル ・エンデの「モモ」の中で見かけた、まるで液体の金のようにみえる蜂蜜をバターと一緒にパンに塗って食べる…というものだ。蜂蜜といえばレモンを漬け込むもの、程度の認識しかなかった自分にはひどく美味しそうな食べ物に思えて憧れた。その他にも海外作品では、紅茶に蜂蜜を入れていたり蜂蜜入りのホットミルクを飲んでいたりしていて。それらはただ砂糖を混ぜ込むよりも、ずっと美味しそうに思えた。
 
 そんな憧憬があったからか、大人になって実際に口にした時は興奮した。トーストしたパンにしっかりとバターを塗って、その上から金色の蜂蜜をとろりとろりと垂らしていく。その様子だけでもワクワクしたが、一口かじってみるとさらに気分は上がった。じゅわりとしたバターの僅かな塩気と、とろりとした舌触りの蜂蜜の甘さ!それらを紅茶で流し込むと、まるで外国の物語の住人になれたような気がした。
 
 その他にも紅茶には少し癖のある菩提樹の蜂蜜を入れると、味わいが変わって美味しくなることを知った。癖のない蜂蜜入りのホットミルクは、冬の夜の楽しみやなかなか眠れない夜の心の支えになった。わたしにとっての蜂蜜は、いつでもちょっぴり昔の憧れを呼び起こす美味しい金色の魔法だ。

 

(完)

 

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