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蜂蜜エッセイ応募作品

いのちの蜂蜜

はりもと

 

 収入を得て暮らす。そのありがたみを、私が心から感じ取れるようになったのは、職を無くしてからだ。失業保険から税金、家賃、生活費もろもろを支払うと、雀の涙程度のお金しか残らない。目減りしていく貯金。なかなか転職先が見つからないこともあり、焦る一方だった。
そんな折、友達に会った。
 「元気だった?」
 「元気だよ!そっちは?」
 定型文から始まる近況報告。まさか、今日の飲み代を捻出するために、数日をカレーで乗り切りました、などとは言えない。
 彼女は、これお土産、と紙袋を渡してくれた。中には「パンに塗る蜂蜜」と「レモンの蜂蜜漬け」が入っていた。旅行先の養蜂場で見つけて美味しそうだったから、ということらしい。ありがたく頂戴して、早速翌日から食べた。
 まずトーストに塗ってみる。ほかほかのパンに塗ると、蜂蜜はさらっととけた。バターの風味もふくんだ濃厚な甘みが心まで満たしてくれる。レモンの蜂蜜漬けはヨーグルトに混ぜて食べた。プレーンの味気ないヨーグルトが、とたんに上品なスイーツのようになる。食欲のない朝でも食べられる最高の朝食だった。
 食べ終わって、私は久 々に心が躍るのを感じた。生活費でまず削ることができるのは食費である。特におやつなどの嗜好品は買わなくなった。甘い物好きな自覚はなかったが、久 々に食べて「あぁ、こんなに気持ちが満たされるんだ」と気づいたのである。しかも他のおやつ類と違って蜂蜜の栄養価の高さは折り紙つきだ。どうしても偏りがちな栄養を補填してくれる意味でも、蜂蜜は最高の食材だったのだ。
 私はその日のうちに友達にメールを送った。
 『この前の蜂蜜本当にありがとう!命が繋がりました』
 彼女は冗談と取り面白がってくれたが、こっちは至って真面目である。今では転職先も決まり、食事に関して我慢をすることは無くなったが、あの頃救われたからこそ今の私がいる。私にとって蜂蜜は、最高の体と心の栄養源だ。

 

(完)

 

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