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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

いのちをつなぐ

広瀬 和子

 

 ぶうんという羽音を耳元に感じ、思わず首をすくめると、祖母は笑ってこう言った。
 「何もしなければだいじょうぶ。ミツバチは、おしべとめしべの仲人なのよ」
 花は、おしべとめしべがそろっているだけでは不十分で、ミツバチが訪れて二人を仲立ちしてくれる、この世の命は皆つながっているのだと、祖母は教えてくれた。
 そんな、いのちの結晶であるハチミツを、戸棚の奥で眠らせておいては、もったいない。
 わが家の朝食には、こがね色の瓶がかならず卓にのぼる。ホットミルクやプレーンヨーグルトに、ぽってりとひとさじ入れれば、たちまち滋味ゆたかに。フレンチトーストにたらたらまわしかければ、こっくり甘やかな匂いに。
 和食党も、あなどるなかれ。お米を炊くとき、一合にティースプーン一杯のハチミツを入れみてほしい。お米のデンプンが分解されふっくらまあるい味のご飯が炊きあがる。
 風邪をひいたら、ちょっとレトロにホットオレンジレモネードはいかが?オレンジとレモンを絞ってお湯で割り、ガラスのコップにたっぷり注いだら、ハチミツをたらたら垂らす。幼い頃、玉子酒がわりによくこしらえてもらった。酸味と甘みのバランスがじつによく、じんわりと胃に染みわたる。なにせ、いのちの結晶だから、あったかいうちに最後の一滴まで干さないといけないような気がして、ふうふうしながらすする。飲み終えた頃には、汗の種類すら変わってくるから不思議だ。風邪っぴき特有の嫌な寝汗から、温泉に入ったあとのようなさわやかな汗ばみへ。あとはベッドへもぐりこめば、翌朝には風邪はすっかり治っている。なぜなら、いのちをつなぐミツバチからの贈り物だから。

 

(完)

 

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