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蜂蜜エッセイ応募作品

蜂の引っ越し

宇都宮 千瑞子

 

 2年ほど前、朝起きてすぐのこと。窓を開けると今まで聞いたこともないような音が耳に飛び込んできた。「ブーン」では表現でききれていない「ブオーン」の方が近い感覚かと思う。音のする方へ濡れ縁から足を伸ばすと、なんと、びっくりするほどの数の蜂が塊になって飛んでいた。その光景は、まるで黒い雲が空から降りてきたような異様さだった。およそ数千匹はいたと思う。どうしたらいいのか、ただ、立ち尽くして見ていたが、いっこうに、庭から立ち去る様子がなく心がざわつき始めていたその時、大きな塊となって移動し始めたのだ。その移動の仕方は見事なもので一匹残らず、姿を消した。あとで、そのことをパソコンで調べると、蜂の巣が狭くなり巣別れしたのだと知った。人生まだまだ知らないことがあるということを身を持って知った出来事だった。耕運機で耕し終えた田んぼの上を、蜂たちは火の玉のようになって飛んで行ったが、あれほどの数の蜂にこれまで出くわしたことのなかった私には未だに、不思議な現象として記憶に残っている。蜂が作る蜂蜜は時 々、料理や口の中にできた口内炎を直す特効薬として使ってはいるが、あの甘い味を口にするたびあの時の蜂の数と、その引っ越しのすさまじさを思い出しより一層、蜂が鮮明によみがえって来るのだ。2年前のあの蜂の引っ越しを見たことで自然界の脅威とそこに生きる様 々なものたちの力が相まって、この地球は命を長らえ、輝いているのだと私なりの思いを抱くきっかけとなった。

 

(完)

 

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