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蜂蜜エッセイ応募作品

クアトロフォルマッジよ、永遠に

田島ぶくま

 

「 は!?クアトロフォルマッジ知らないの!?」

大学1年の冬、キャンパスの図書室前の広場のベンチで彼は言った。普段温厚な語り口の彼にしては、やや強い言い方だった。当時の私がクアトロフォルマッジを知らなかったことは、それほどの衝撃を彼に与えたらしい。

「じゃあ、食べに行こうよ。今週の3限終わりとか空いてる?」

彼はそう続けたので、今度は私が驚いた。

彼は明るく、友達が多いタイプだった。一方私は真逆である。このような誘いを受けることなど、まるで想定していなかった。しかし、断る理由も特にない。数日後、彼は本当に私をクアトロフォルマッジを出している店に連れて行ってくれた。

チーズピザに蜂蜜をかける、と聞いたとき、プリンに醤油をかける、みたいなものを想像してしまった。だが一口含んだ瞬間、それが間違いだったと分かった。蜂蜜の甘みととろみは、チーズの魅力を何倍にも増幅して感じさせてくれた。

「な?うまいっしょ?」

そう笑った彼の顔がいつもより輝いて見えたのも、蜂蜜の作用だったのかもしれない。

結局、彼とはこれをきっかけに何度か遊びに行くようになって、付き合うことになった。交際期間3年8ヶ月。決して平穏なときばかりではなく、最後の方は会えば険悪になることの方が多かった。

別れた直後は見るのも嫌になっていたクアトロフォルマッジだが、最近はさすがに何も思わなくなった。むしろ避けていた期間の反動で、前より頻繁に食べるようになっている。

あの恋の甘さはすぐに消えてなくなってしまったけれど、クアトロフォルマッジは変わらず魅惑的な甘塩っぱさを私に届けてくれる。ああ、素晴らしき食。このメニューを教えてくれた点に関してだけは、彼に感謝したいと思う。

(完)

 

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