にぐまっち
「ゴホンゴホンッ、あぁ目が覚めちゃった…」
時刻は朝の4時。朝の季節の変わり目で、どうやら喉からくる風邪をひいたようです。
「これから朝まで咳込んで、寝付きが悪くなるのだろうなぁ…イヤだな」
寝ていては咳込んだときに辛いので、とりあえず座ることにしました。
家には咳に効くような常備薬を持っていないし…
「そうだ、はちみつで喉を潤してみよう」と思いました。キッチンをさがしてみると、大さじ1杯のはちみつなら有り。
そのはちみつを匙に出し、少しずつ口にしてみました。
甘くて濃厚。そして優しいはちみつの味が、喉に伝わっていきます。喉が優しさで包み込まれていくような感じ。
「うん…なんだかなつかしいぞ、この味…」
はちみつを食べて思い出したのは、祖母が生前よく作ってくれていた『はちみつ大根』です。
私が小学生の頃、おばあちゃん子で、同居している祖母とよく一緒に過ごしていました。
冬場になり、私が風邪気味の時に、「咳が出るんよ」と伝えると、祖母は「冷蔵庫にはちみつ大根作っとるけえ、一緒に食べようや」と、出してくれていました。
祖母は冬場になるときまって、はちみつ大根をつくって冷蔵庫に常備してくれていました。
寒い冬に、おばあちゃんと分けて食べるはちみつ大根。
はちみつに大根が加わることで、はちみつがさらさらっと優しい味に。大根から水分がぬけて、しわしわになった大根も、これまたコリコリッとしておいしい。
祖母とテーブルを囲んで食べるはちみつ大根。冬の楽しみの1つでもありました。咳の何よりの特効薬は、おばあちゃんとの団らんです。
楽しみであると同時に、少しせつない気持ちも持ち合わせていました。祖母と私は何十歳も離れているわけで…あと何年、一緒にはちみつ大根を食べることができるのだろう?と。
祖母は20年前に他界。そういえばあの頃から、『はちみつ大根』食べていないなぁ…
そして今。咳込んで目が覚めた明け方。
はじめは、「咳で起こされてしまった」と、機嫌悪く起床しました。しかし、大さじ一杯のはちみつを口に含んだことで、祖母との『はちみつ大根』のエピソードを思い出し…
なんだか今は、おばあちゃんの愛情を思い出して心がほっこり。明け方ですが、ここからゆっくりと眠れそうです。
よし、朝起きたら、スーパーへ行こう。大根とはちみつ瓶を買って、『はちみつ大根』をつくろうかな。おばあちゃんとの思い出の続きを、はちみつ大根で。
(完)
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