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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

じゃりじゃりの蜂蜜

あかいくるみ

ホットミルクをつくる時、必ず祖父母を思い出す。

幼い頃、姉が闘病中だったため私は祖父母の家に預けられていた。当時の私はとんでもない泣き虫だった。ずっと母に会いたくて、ことあるごとに泣いていた。夜も中々眠れずよくぐずっていた。すると、祖母がよくホットミルクをつくってくれた。マグカップに半分だけ牛乳を入れて電子レンジで温める。突沸に気をつけながら人肌にすると、じゃりじゃりの蜂蜜を大きなスプーンにたっぷりすくって入れる。くるくるとスプーンを回してから渡されるのだが、なにせたっぷりすくっているので溶けきらず、スプーンにかたまりが残っている。私はそれをすぐに口に入れて、甘いじゃりじゃりを噛んで楽しむのだった。するとなんだか落ち着いて気分が良くなったのを覚えている。

祖父母の家の蜂蜜はなぜかいつもじゃりじゃりだった。大きな瓶に入った百花蜜で、濃い風味があった。祖父が、趣味の車旅の途中、道の駅かどこかで買ってくるらしかった。白黒のラベルには、お世辞にもかわいいとはいえない蜂の絵が描いてあったが、祖母はそれを見ていつも「かわいらし」と言っていた。祖母はとてもかわいらしい元気な人だった。

祖父は、野性的で賑やかな人であった。幼い私に見せようとヘビやスズメ、魚を捕まえてみせたり、山の中へキャンプに連れて行ってくれたりした。でも、とりわけ覚えているのは蜂の巣事件である。ある年祖父母の家に蜂の巣ができた。大きめの蜂の巣で、第一発見者の私は大騒ぎでふたりに報告した。すると祖父は「おっ、小腹空いてたんや」と言って、外へ行き、しばらくして蜂の子を持って帰ってきた。そして蜂の子をバターで炒めて食べた。衝撃だった。初めて蜂の子を見た私にとってはなにもかもが衝撃的だったが、祖父が「わからんか~、これが大人の味や」と言っておいしそうに平らげていたのが印象に残っている。

現在、大きくなって、私はひとり暮らしをしている。東京に蜂の巣なんかはないし、私の蜂蜜はいつもさらさらである。お料理にも使いやすくて、くせがなくておいしい。ホットミルクをつくってもすぐに溶けてくれる。スプーンにも何も残らない。でも、それが、すこし物足りない自分がいる。あのどっしりとして、じゃりじゃりの、濃くて甘い蜂蜜が自分にはいちばんおいしく感じるのだ。あっさりとしたホットミルクを飲んで、ひとりぼっちの私はちょっぴり、さみしくなるのだった。

(完)

 

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