ろみ
いつからだろうか、気付けば蜂蜜信者になっていた。蜂蜜は万能薬、とまでは言わないが、免疫力を上げ、時には薬にもなるスーパーフードだと信じている。故に毎朝ヨーグルトにマヌカハニーを一匙入れて食べることを日課としている。ヨーグルトを食べるためにマヌカハニーを入れるというより、マヌカハニーを食べるためにヨーグルトを食べている。喉が痛ければ喉に蜂蜜湿布を貼るイメージを持ちながら蜂蜜を舐める。しばらく水分は摂らない。蜂蜜湿布が流れてしまうので。咳が出る時も然り。最近、鎮咳薬より蜂蜜の方が効果があるというのが医者の間では常識とされているというような記事を読んで、「でしょうね」と頷いた。製薬会社に勤めていたこともあり、創薬というのがどれだけの歳月と費用がかかり、どれ程の苦労と努力、そして奇跡が必要かということも心得ている。けれども、蜂蜜の出来上がる工程を知ると、それこそ奇跡の賜物であり、無限の可能性を感じてしまうのだ。冬には子供達にホットレモン水かハーブティーを飲ませている。その際は「免疫力上がれぇ」と念じながら一匙の蜂蜜を溶かす。取り分け何かの感染症が流行りだすと、蜂蜜からマヌカハニーに切り替える。
エモい思い出というのは、案外些細な何てことのないものだったりする。 母が天ぷらを揚げている後ろ姿。父がお風呂上がりにいつも頭に海賊のように巻いていたタオル。猿の写実画のようだったトイレの木目。20年後の冬に思い出すのは、一匙の蜂蜜を溶かしたハーブティーを猫舌の娘や息子が匙ですくって飲む姿なのかもしれない。ふとそんなことが浮かび、宿題もせずに遊んでいる子供達に向けていた怒りも、蜂蜜を溶かす匙を回しながらすっと収まるのだった。
(完)
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