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蜂蜜エッセイ応募作品

鼻づまりと蜂蜜

仲西貞之

71歳の前期高齢者の私は、まだまだ働きたく、老健施設で認知症の方々のお世話をさせてもらっている。老健では疲労回復やお口直しに、飴玉が用意されている。私が特に選ぶのは蜂蜜入り梅のど飴、同じく蜂蜜入りレモンのど飴である。梅もレモンも蜂蜜とブレンドすることで、マイルドになり、さらに砂糖よりもコクが増し、ダダ甘さが広がらない。ほんのひと飴、ふた飴で仕事に快適さをもたらせてくれる。うれしい小粒君だ。そんな私は幼い時より今に至るまで、アレルギー性鼻炎による鼻づまりに悩まされていた。アレルゲンはカビとホコリのため、どこでもつまる哀しさがあった。集中力がどんどん低下し、学業不振にも陥った。そんな時、元気にしていない私を見て、同級生の友人A君が小瓶をくれた。「仲西君、しんどそうやな、ちょっと心配してたんだ」彼は爽やかに微笑んでいた。「これはさ、僕のおじいちゃんが、京都丹波で作った蜂蜜なんだ、100%純正のお宝なんだ」A君は照れたように小瓶を差し出す。私は口呼吸し、目を充血させながら、お辞儀して受け取った。「ありがとう、高いんとちがうか」「いやいやおじいちゃんの趣味で作ってんねん、いっぺん飲んでみて、結構おいしいで」私は家に帰り、スプーンでひとさじ、舌に転ばす。濃厚なのに爽やかな甘みが舌を通り越し、喉を潤す。毎日ひとさじ飲み続けた。7日目だっただろうか、何故か鼻の通りがよくなり、鼻に酸素が供給されたようだ。脳に陽光が差したかのような、そよ風が吹いたかのような、そんな気分が訪れた。それ以来毎日蜂蜜を舐め続けている。鼻づまりはほぼほぼ治まり、何とか大学に行き、社会人としても無事に過ごせた。そんなお宝をくれたA君は小学校6年の時、お父さんの関係で東京に移転した。今、人生の恩人でもあるA君はどうしているのだろうか。無性に会いたい。そしておじいさんが作られた、あの丹波の蜂蜜のお礼と、蜂蜜入りの飴玉を共になめたいと思う。越し方60年の思い出と今を確かめながら。

(完)

 

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