マヤラヒ
小学生の娘は、幼稚園児のころ、髪を洗うのを極端に嫌がっていた。
プールや海は大好きなので、顔に水がかかるのが嫌というわけではなさそう。
けれど、お風呂で髪を洗うのだけは嫌で、毎回、シャンプーをする時は泣きそうな顔をしていた。
シャンプーが合わないのかもしれないと思い、低刺激のシャンプーやオーガニックシャンプーを手当たり次第試したが反応は変わらず。
嫌がる娘を見ながら髪を洗うのも胸が痛み、ほとほと困り果てていた。
そんなある朝、娘のお気に入りのはちみつバタートーストを食べていた時だ。
「はちみつシャンプーがあればいいのに」と、娘がポロリとこぼした。
「はちみつシャンプー?」と、私が聞くと、娘は頷いて話しはじめた。
「はちみつのいい香りがしたら、良いのになぁって思ったの。とろとろしてて気持ちよさそうだし」
「じゃあ、今夜ははちみつシャンプーにしちゃおうか!」
「できるの?」
「できるできる!」
「やったー!」
娘はきらきらと目を輝かせて言った。
確か、蜂蜜をシャンプーに混ぜて美髪効果が得られると聞いたことがある。
おいしい蜂蜜をシャンプーに使うのは少しもったいないような気もするけれど、娘が喜ぶなら、娘がシャンプーを好きになってくれるなら!と、その夜は小さな器に蜂蜜をすくって入れ、バスルームへ持っていった。
効果は絶大だった。
まず、シャンプーに蜂蜜を混ぜてよく泡立てると、バスルーム中に華やかな甘い香りが漂ってきた。
これだけでも、かなり気分がいい。
娘も、「うわぁ。いい香り!」とにっこりしている。
髪を洗いはじめても、娘の顔は曇らなかった。それどころか、鼻歌を歌いはじめた。あんなに嫌がっていたシャンプーで、娘が気持ちよさそうにしている。
「はちみつシャンプー、気持ちいいね」
私が言う。
「うん!はちみつシャンプー最高!」
娘が発光したような笑顔で言う。
お風呂上がり、ドライヤーで娘の髪を乾かしているとスルスルと指通りがなめらかで驚いた。
もともと、子どもの髪はつやつやで美しい。それをさらにしっとりと潤い、つややかにさせたのは間違いなく蜂蜜の効果だろう。
食べてもおいしい蜂蜜が、髪にも良いなんて嬉しい誤算だった。
おかげで、娘は髪を洗うことを楽しんでくれるようになり、娘はさらにかわいくなった。
(完)
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