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蜂蜜エッセイ応募作品

唇のヒーロー

toy

 

 蜂蜜がない生活なんて想像できないくらい、子供の頃から家には蜂蜜が常に戸棚のすぐ見える所に置いてあって、なくなればすぐに補充されるヒーローだった。

 幼稚園児の頃、テレビで歌番組を見ていると、出る人出る人みんなの唇がピカピカに光っていた。
 歌が上手なのもあるけれど、唇が光輝いていることが、何より素敵で
目が釘付けになった。
 歌う角度でその光方が違っていて、とっても綺麗な彼女達にすごく憧れたものだ。
 彼女たちは、唇に蜂蜜をぬっているのだ!と信じていた私は、蜂蜜を唇につけては大満足していた。
 子供ながらに自分のことをさえないと感じていた私でも、蜂蜜を塗ると唇をツヤツヤピカピカにしてくれて、拳をマイクにたちまちアイドル気分に浸れるのだ。
 そして甘くて美味しい蜂蜜。すぐにペロリと舐めてしまえるのも楽しい瞬間だ。
 風邪をひいて喉が痛い時も、口内炎ができた時も、勿論蜂蜜の出番だ。母が大きなマグカップに、温かいお湯を注ぎ、たっぷりの蜂蜜をマドラーで混ぜながら、丁寧に丁寧に溶かしてくれる。
 それをゆっくりと飲むと、さっきまであんなに痛かった喉に、じんわりと優しく効いてくれる。
 心までほぐれるようだ。
 口内炎には勇気を持って指で直接つけていく。
 一瞬の甘さは束の間、目が覚めるほど染みるのだけれど、その後はかなり楽になる。
 やっぱり蜂蜜効果は素晴らしい!

 昔は、土曜日には半日だけ学校の授業があって、その日のお昼はかなりの確率でホットケーキが食べられる。
 大抵の家庭ではメイプルシロップをかけるのが普通らしいのだが、我が家ではバターと蜂蜜が定番だった。
 「蜂蜜の方が濃厚で美味しいのよ」と母はいつも言っていた。
 ふわふわのホットケーキに、蜂蜜を乗せると、ホットケーキの温かみで、蜂蜜がどんどんと溶けて柔らかく広がっていく。
 そして染み込んだ所にバターを乗せる。
 もう口いっぱいに広がっていく幸せは無限に感じられる。

 近年は、マヌカハニーや、プロポリス、ローヤルゼリーなど、私が子供の頃にはぜんぜん知らなかった新しいヒーロー達がたくさん出てきた。みんなで力を合わせて助け合って、私達の体と心を癒してくれている気がする。
 ドラッグストアに行けば、簡単に痛みを和らげる薬がいくらでも手に入るけれど、やっぱり丁寧に作られていく自然の贈り物ほど、私達の自然治癒力を高めてくれる存在はないと私は思う。

 中高年になっても、「ホットケーキにはやっぱり蜂蜜が一番よ!」と夫に言いながら、食卓を囲む豊かな時間がこれこらもずっと続いてほしいとつくづく感じている。

 

(完)

 

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