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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

あまいおくすり

藤田なつ実

 

 「はちみつたべたいなぁ~」といえば某赤いTシャツの黄色いくまがツボに手を突っ込んでいる姿が思い出されるが、我が家でも「はちみつたべたいなぁ~」という声が朝に夕に頻繁に聞こえる。4才の娘である。
 娘は2才頃から、咳に苦しめられてきた。特に感染症にかかったわけでもなく、発熱も鼻水もなく、咳だけが続くのだ。一度発作が始まるとなかなか止まず、真っ赤な顔で苦しんでいる。座らせても、水を飲ませても、止まらなかった。日中はもとより夜は咳のせいで眠れず、かわいそうだった。親としても眠れぬ日々が続いた。
 小児科を受診するも原因はわからず、処方された薬も著しい効果はみられなかった。数駅離れた呼吸器内科やアレルギー専門医も訪ねたが、喘息だと言う医師もいれば喘息ではないという医師もいた。処方される薬は都度異なり、娘に合う薬はなかなか見つからなかった。ついにたどり着いたのはホームページがない個人医院で、そこで症状を伝え処方された薬を飲むと、今までより明らかに咳きこみが減った。丁寧に診察をしてくれる医師を娘は「優しいおじさん」と呼び、通うのをどこか楽しみにしている様子もあった。私たち親としてもやっと人心地つけたのだった。
 しかしただ一点、娘は薬の苦さを訴え、素直に飲んでくれないという問題が残った。「おくすりのもう」と誘うと逃げたり、ときにはふざけてこぼしてしまう。薬を飲めば咳が治まると諭しても、「やなのー!」の一点張り。ヨーグルトやアイスに混ぜても、味の相性が悪いのか飲んでくれなかったり、逆に「もっとたべたい」とせがんだりしていた。一日二回朝晩の服薬は飲む方も飲ませる方にも一苦労だった。
 そんな折に知ったのが薬をはちみつと混ぜるという方法だった。はちみつは少量でも甘く、食べ過ぎる心配がない。そもそもはちみつには喉の殺菌効果や咳を鎮める効果があるらしい。美味しい上に症状も改善するなんて一石二鳥ではないか。早速試してみると案の定娘は気に入り、かくして娘は喜んではちみつを、もとい薬を飲めるようになったのだった。いまではすっかり味をしめ、「はちみつ食べたいなぁ~」と笑顔でこっちを見てくる。
 我が家での毎日にはちみつは欠かせない存在となった。さぁ今日もあまいおくすりで、家族みんなの健康と安眠を支えてもらおう。

 

(完)

 

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