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ミツバチと共に90年――

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ミツバチに刺された思い出

さくら

 

 私が幼稚園に入る前、今から50年以上も前の出来事です。あの出来事は、今でも鮮明に覚えています。なぜなら、そのときミツバチに刺されたからです。

 その日は友達と一緒に、近くのれんげ畑へ出かけました。れんげの花が咲き誇り、春の柔らかな風が吹いていました。私は花の周りで遊びながら、れんげの花のみつを吸っていました。すると、ふと気づくと、何かが花の周りを飛び回っていました。それはミツバチでしたが、当時の私はミツバチが刺すことも、刺されたら痛いことも知りませんでした。

 私は無邪気にその蜂を追いかけ、両手で囲むようにして捕まえました。ミツバチは小さくて、羽音がブンブンと響き、羽根が私の手に触れるたびにくすぐったい感覚がしました。しばらくそのミツバチを手の中で感じていると、突然、静かになった瞬間がありました。その時、右手の親指の関節あたりに強烈な痛みが走ったのです。

 びっくりして手を離すと、親指には白い針が刺さっていました。痛みがあまりにも強くて、私は大声で泣きながらあわてて家に帰りました。母がすぐに針を抜いてくれましたが、その時は何が起きたのか理解できませんでした。

 数年後、ミツバチに刺されたことをようやく知り、そのミツバチは刺すことで命を落とすことを理解しました。あのとき、無知だったとはいえ、捕まえたミツバチに申し訳ない気持ちが湧いてきました。ミツバチも自分を守るために刺したのだろうと思うと、どこか切ない気持ちになります。
 毎年、春になり、れんげ畑を見ると、あの当時のことが思い出します。
 一生忘れない記憶です。

 

(完)

 

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