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蜂蜜エッセイ応募作品

コムハニーに魅せられて

かやぼん

 

 蜂蜜が好きだ。その始まりは贅沢にも、子どものころのコムハニーとの出会いだった。
 父はとにかく、「おいしいもの」を食べることが好きな人だった。食べるだけではなくて、おいしいものにまつわるものを読んだり見たりするのも好きな人だったので、毎月買ってくる雑誌danchuや、池波正太郎や山本益博の著作をぱらぱらめくって読むような小学生に私がなったのは環境がそうさせていたのだと思う。そんな小学生だった私が憧れていたのが数ある料理雑誌やエッセイに登場していたコムハニーだ。
 コムハニー。巣みつ。まさに蜂の巣の形そのままで、「ふつう」の蜂蜜とはまったく違う。きらきらと黄金に輝く、それはまるで当時の私にとっては宝石のかたまりのように目に映った。食べたい。どうしても。でもどこに売っているんだろう。写真を見てはうっとりし、エッセイの中に登場する食レポを読んではうっとりする日々。
 ある時、偶然にもいわゆる「高級スーパー」に親にくっ付いて行った時にそれはあった。四角のプラスチックケースに入った、あの!夢にまでみた!!あの!!!
 ねだってねだってカゴに入れてもらい、律儀に翌朝まで待って(焼きたてのパンに塗って食べるのは朝がふさわしいというこだわり)、焼かれた食パンのまず端っこに巣みつのかたまりをのせて、一口。普段塗って食べている蜂蜜とは違う。「じゃりっ」とした食感と、ざらりとした甘さ、そしてバターのじゅわんとしみる塩っけとパンの歯触り。自分がなんだかすごく大人な食べ物を食べているような、ドキドキして背伸びしているような、そんな気持ちはコムハニーを全て食べ終えてしまうまでずっと続いた。
 今はだいぶ大人になった今、欲しいものはある程度自由に買えるし、コムハニーだってクリック一つで手にしてしまえるけれど。やっぱりすごく特別なもので、食べる度に、あのときめきながら手にして食べた瞬間を思い出す。それが私にとっての蜂蜜、コムハニーだ。

 

(完)

 

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