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はちみつオリンピック

市原寿美

 

 近所のスーパーに、はちみつを買いに行く。国産が3種類、他は外国産。中国、タイ、ハンガリー、ドイツ、カナダ、メキシコ、アルゼンチン…。
 今や、はちみつも国際的。世界大会のような品揃え。
 迷いに迷って、その日は国産を選ぶ。ラベルには「百花蜜」とある。
 
 私が子供のころ、はちみつと言えば、レンゲだった。なにしろそこら中にレンゲ畑があった。春になると、その一面ピンク色の畑の中で子供たちは嬉々として花を摘み、器用に編んではレンゲの花の冠や首飾りを作ったものだ。
 徐々にレンゲが姿を消したせいか、今の日本産のはちみつは、アカシアが多い気がする。たしかにアカシアは、そこかしこに咲いている。
 また、子供のころのおやつと言えば、手作りのホットケーキ。メープルシロップなんてしゃれたものはなかったけれど、はちみつをたっぷりかけて食べたものだ。当時のはちみつは無愛想な、大きなガラスびんにはいっていたから、スプーンですくって取り出すたびに、あちこちがベタベタになってたなぁ。なつかしい思い出だ。
 
 夫が、薬局から情報誌をもらって来る。
 今月号は、「はちみつ特集」
 はちみつには、健康に役立つ様々な効能があるそうだ。整腸作用、安眠効果、口腔衛生、保湿などの美容効果。知らない事ばかり。美味しくて、健康にも良い。はちみつ最高!
 そして、どのような過程ではちみつが作られるのか、私は初めて知った。
 「寿命が尽きる前の一週間、外に出て花粉や蜜を集める」この一文に、私は胸が苦しくなる。花の周りを飛んで、蜜を吸う蜂たちが楽しげに見えていたのは、私の勝手な思い込みだったのかもしれない。約1ヶ月ほどの寿命の最後の時までも「働きつづけよ」と彼らのDNAに刻まれているのか…。
 
 はちみつは甘い。
 はちみつは美しい。
 はちみつは素晴らしい。
 
 私は労せずにこの金色の液体を食べることが、申し訳ない気がする。感謝して十分に味わって、大切に大切に頂きたい。
 
 はちみつは、蜜蜂の最期の作品。
 
 全てのはちみつと、蜜蜂に金メダルを捧げたい。

 

(完)

 

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