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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

兄妹のハチミツ

ひび子

 

 我が家には二歳差の兄妹がいます。お兄ちゃんは好きなものを見つけたら熱中してとことん突き詰めるタイプ。ただ、その好きなものを誰かに分けてあげることがとても苦手。妹は落ち着いていて、心の優しい子です。下の子が一歳を過ぎた頃、お兄ちゃんがおもちゃを貸してあげることができずに妹を押す場面があり、止めに入った私に対し妹の方から「ママ、もういいよ。ニーニかわいそうだよ。」と言ってくれることも…。
 さて、お兄ちゃんはハチミツが大好きです。ヨーグルトに入れたり、スプーンにすくってそのまま食べたり。一歳から食べられると聞いていましたが、私は心配性で二歳から解禁にしていたため、お兄ちゃんだけが食べられる期間が長くありました。 “自分だけが食べられる”ということで、ハチミツは彼にとって特別なものでした。よく「これはニーニだけが食べられるからね。はなちゃんはまだ食べられないんだよ」と妹に得意げに教えてあげていました。妹の方も、私が「食べたい?」と聞いても、「まだちいさいからいいの」と拙い言葉で、自分の番はまだだと自覚していたのが微笑ましかったです。
 下の子が二歳を過ぎたある日、いつものようにお兄ちゃんにスプーン一杯分をあげようとして、「あ、はなちゃんもうハチミツ食べられるんじゃない」とお兄ちゃんだったか私だったかが気付いて声を上げました。お兄ちゃんだけのものだったハチミツを妹にあげることを嫌がるのではと懸念したのですが、全くの反対でした。「はなちゃん、やったね!ついに食べられるよ。甘いからびっくりするよ!」と自分のことのように喜んでいます。また同時に「ママ、本当に大丈夫だよね?最初だから少しにしておく?」と心配もしてくれました。恐る恐る初めてのハチミツを口にした娘は、小さな両手で小さな口を押えてパタパタと足踏みしました。そして目を丸くして「おいしい!」と。私にとっては二人が何かを共有する喜びを知ってくれたことがとても嬉しい瞬間でした。
 数年過ぎた今、二人は一緒に遊ぶことも喧嘩することも増えました。喧嘩の声に溜息が出そうな時、私は息を大きく吸って「ハチミツ舐める?」と聞きます。そうすると、二人とも「舐める!」とあの日と同じ幸せな笑顔にすぐに戻ることを知っているからです。

 

(完)

 

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