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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜のかけら

name.Bee

 

 いったいどんな味がするんだろう。蜂蜜だから甘いに決まっているが、私が一度は食べたいと思っていたのは、とろりと蜜が垂れ落ちる巣のかけらだった。
 いつぞやテレビで、密林で蜂蜜を採取する動画をみた。蜂蜜の巣ごともぎとるようにして集める光景には、大自然に暮らす人々の逞しい生命力がかんじられた。多くは販売目的のようだが、残りは家族でまた仲間内でわけあたえていた。かけらに口をちかづけ滴る蜜を吸いながら食べるかれらの満たされた表情が印象的だった。それをみて以来、私もいつかは巣のかけらを食べたいと思うようになった。
 だがスーパーなどで売っているのは、巣をとりさったあとの蜂蜜にかぎられた。専門店ならあるかもしれないが、当時の多忙な私には、そこまでやるだけの余裕はなかった。
 それでもその後、やはりテレビなどで、蜂蜜の巣のかけらをたべるシーンをみるにつけ、食べたいという気持ちにまた火がつくのをどうすることもできないでいた。
 それから何年もたったある日、たまたま入ったディスカウントショップで私は、積み重ねられたビン入蜂蜜をみた。
 そのビン1個1個の中に四角く切った巣がたっぷり詰められているのがわかった。しかもお手軽な値段。さっそく私は1個を買って家にもって帰り、ふたをあけてつまみだした巣から滴りおちる蜜を小皿でうけながら、夢中でかぶりついた。
 モソモソとして、まるで蝋でも噛んでいるような歯ざわりだった。噛んでいるうちにとろけると思いのほか、いつまでたっても口に残り、しまいにはのみこむほかなかった。
 密林の採集者がみるからにうまそうに食べていたのは、結構危険な木の上で、命がけで蜂蜜の採集作業を果たし終えた達成感も、大いに影響していたにちがいない。

 

(完)

 

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