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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

透き通ったゴールドのビン

ちぇっこ

 

 幼い頃、瓶に入ったゴールドのハチミツを見ていると、夢のような食べ物に思えたのだが、実はそんなに好きではなかった。ほとんど食べた記憶が無い。次に食べたのはその20年後くらいの感覚だった。
 仕事で疲れ切っていた。カフェに入り、メューに蜂蜜ミルクティがあった。蜂蜜ミルクティという言葉の響きがなんだかとてもお洒落な感じがして、それを注文した。一口飲んだ時に、疲れの元が解け始めた気がした。お洒落な響きのものは、疲れまで癒してくれるのかと思った。蜂蜜の事は忘れていた。
 その当時、家には1kgサイズの瓶があり、なくなると父が直接養蜂場まで買いに行っていた記憶があった。蜂蜜は健康に良いし、肌が綺麗になるから食べなさい。とよく言われていた。朝食時、蜂蜜は食卓の上にあった。家族は、蜂蜜を好んで食べていた。
 再び20年が過ぎ、次に食べることになったきっかけを作ったのは、蜂蜜専門店がイベントとしてスーパーの一角にお店を出したその前を通った時の事だった。瓶の中の美し過ぎるゴールドに魅かれたのだった。通り過ぎるスピードで歩いていたのが、急にゆっくりになったのを、恐らく販売店の人は見ていたのだと思う。試食されませんか?と声を掛けられた。基本的に買う予定の無いものの試食は絶対にしないのだが、どういうつもりだったのか、この時足を止めて、試食する気になっている自分がいた。あとで考えても不思議に思うのだが、最初から買うつもりでいたのだと思う。テーブルの上には、アカシア、栃の実、菩提樹、藤、百花、マヌカと並んでいた。菩提樹を一匙口に入れた。これも蜂蜜なのかという驚きだった。アカシア、藤、栃と4種類試食して、全部購入した。スーパーの一角のイベントでこんな贅沢な時間を味わえるなんて思ってもみなかった。
 最近になって、薬のアレルギーが出るようになり、万人に副作用が出ないとされている薬にさえ副作用が出て、幾つかの薬を飲むと何かしらの症状が出始めるようになった。
 あまり薬には頼れないので、免疫力を高めていく方法を取ることがいいことに気付いた。
 父が言っていた、蜂蜜は免疫力を高めるという言葉を思い出した。
 しかし、今まで蜂蜜を好きではなかったのに、突然蜂蜜を買ったことに何か大義名分がいる気がして、免疫力を理由に買った事にしたのだが、結局は、美味しいから買ったというのが、本当の理由。何だか40年近く損をして生きてきたような、そんな気がする。

 

(完)

 

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