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風邪引きさんの救世主

みーみーママ

 

 大人になった今でも蜂蜜は好きで、ヨーグルトにかけたり、トーストに塗ったり、お菓子作りに使ったりと様々な用途で蜂蜜にお世話になっている。
 しかし、蜂蜜に関わる思い出という点で考えた時、真っ先に思い浮かんだのは子どもの頃の出来事だった。
 記憶にあるのは私が小学校低学年の頃だろうか、私は小さい時からよく風邪を引き、外に遊びに出れば翌日には高熱が出て幼稚園や学校を休むような子だった。風邪を引くと扁桃腺が腫れ、熱も辛いのだが、何を飲み込むにも喉の痛みとの戦いなのが苦痛だった。何も食べてなくても口の中には次第に唾が溜まり、その度に覚悟を決めて目を瞑りゴクリと唾を飲み込むのだ。そんな時、我が家では決まって蜂蜜が登場した。母が瓶に入った蜂蜜をティースプーンで掬って、私の口元へ運び、「ゆっくり舌の上で蜂蜜をのばしてごっくんするのよ。そしたら喉の痛いのも少しは和らぐから」と、そっとスプーンを舌の上に置いた。甘〜い蜂蜜が、真っ赤に腫れた喉に徐々に行き渡り、口内にバリアを張ってくれたおかげで不思議と痛みが和らいだ。
 それを一日に何度か繰り返すと、喉の腫れも徐々に引いていき治りも早かったように思う。
 ちなみに蜂蜜も、とろっとしたタイプと、白っぽく結晶化したものとその時々でタイプが異なったが、結晶化タイプだと「よっしゃー!」と心の中でガッツポーズをしていた。なぜかというと、滞空時間ならぬ、滞蜜時間が長いからだ。飴玉もそうだが、小さい飴よりもザラメの付いた大玉の飴の方が長く楽しめる。それと似ている気がする。
 風邪を引いて外にも遊びに行けず、ただ寝て起きて食べての退屈な日々に、あのジャリジャリとした塊を少しずつ味わいながら攻略するのが、ささやかな楽しみだった。
 大人になった今では、病弱だった子ども時代が嘘のように、風邪知らずで元気に日々過ごしている。でも、もしまた熱が出て扁桃腺が腫れるようなことになれば、今度はティースプーンではなく、大さじくらいの大きさで掬って、当時を思い出しながら口の中でじっくりと蜂蜜を味わいたい。

 

(完)

 

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