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ミツバチと共に90年――

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はちみつの教え

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 「おはよう。」「うん。おはよう。」「何食べる?」「いつもの」我が家の朝はこんなやり取りから始まる。息子は冷蔵庫からプレーンヨーグルトを取り出すと、はちみつをかけて口に運ぶ。光陰矢の如しとはよく言ったもので、こないだまで幼かった息子が、今や思春期またっだ中である。口数も減り、自分のことは自分でするようになり、煩わしさから解放されつつあることは喜ばしくもあり、寂しさを実感することも増えてきた。それでも、自分の心身の健康を維持するために、はちみつが有益であることを諭すまでもなく、息子のそばにいつもはちみつがあることは幸いである。
 振り返れば私の身近なところに、いつもはちみつがあった。疲れがたまり、何も口にする気力さえ奪われた時、母がはちみつ湯を作ってくれた。口に広がる甘味は心身にじんわり沁みわたり明日への活力が蘇った。風邪でのどが痛い時、はちみつは荒れを癒してくれた。なかなか治らない口内炎にもひと塗りすれば効果てきめんだった。たまの贅沢と思って、髪や肌の手入れにも使ったりする。食べてよし、塗ってよし、はちみつは万能の薬箱のように、用途に合わせて私の生活に寄り添ってくれたのだ。決して出しゃばることなく、求められれば「はい、私の出番ですね。」と登場してくれる安定のスタメンである。
 こんなにも頼ってきたのに、私ははちみつの何たるかを熟知しているわけではない。そんな私にもわかっていることがある。それは、花々の恵みを、ミツバチたちが運び、養蜂家のたゆまぬ努力によって、今や遠い地の様々なはちみつが、求める人々にもたらされているということだ。またその恵みが、近年の気候変動や環境汚染などによって風前の灯となっていることも。
 母が教えてくれたはちみつの効用、おいしさ。いつの間にか息子の毎朝のスタートに欠かせなくなったはちみつ。私の生活の様々な場面にさりげなく寄り添ってくれているはちみつ。これから100年、さらに100年、そのまたずっとずっと先まで、その恩恵を求める者とはちみつとの良好な関係が続いていくことを願いながら、はちみつを守っていく環境づくりについて学んでいこうと考えている。ただ甘いだけではない、ただ心身に良いだけではない、気候変動や環境についても思いを巡らせてくれるはちみつの味は滋味に満ちているのである。

 

(完)

 

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