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はちみつケーキ

にゃんママ

 

 私の趣味の一つは、料理のレシピを読むことだ。和食でも、洋食でも、中華でもいい。洋菓子でも、和菓子でもいい。保存食は種類が多いし、作り方も何通りもあって実に興味深い。郷土食に至っては想像もできないほどなじみの薄い素材があって、それがまた好奇心を刺激する。レシピを読みながら頭の中で料理を作る。自分だったら大さじ一の砂糖を入れるところを小さじ一とあれば、甘味が足りないような気がするけれど出汁が濃いめだから旨味で補えるのかななどと想像して、頭の中で味わってみる。それでさらに興味をそそられたら実際に作ってみるのだ。
 ところが、大学生のときに読んだレシピにまったく味の想像ができないものがあった。ドイツの主婦が作るケーキのレシピだった。材料を大きなボールで次々と混ぜて、天板にどーんと平らに流して焼くという簡単な作り方なのだが、その味がどうしても想像できない。
 バターと、同じ分量のラードを入れる。ラードをお菓子に使ったレシピは初めてだ。シナモンやカルダモン等の複数の香辛料。しかも、量が多い!クルミとレーズンをたっぷり入れるので、大学生のお財布には辛い。レモンの、果汁でなく皮を摺りおろす。そして極めつけに、大瓶がほぼ空になるほどの蜂蜜を投入するのだ。だって、このお菓子の名前は「はちみつケーキ」なんだから。
 学生には材料費が高過ぎる。カロリーも高過ぎる。そして美味しそう過ぎる。もちろん私は焼いてみた。パウンドケーキでもクッキーケーキでもない独特の味わい。鼻に抜ける香辛料の強い香り。蜂蜜のためだろう、ふわふわではなくむちっとして、つまんだ指先かぽろっとこぼれる。口の中に、砂糖とは違う甘味が広がる。
 それから何度もこのケーキを焼いた。
 「フォークで食べられない」
 「こぼれて食べにくい」
 と言いながら、これを食べた人はみんなまた食べたがるから。
 「このケーキにはね、たっぷりのバターとラードと、プーさんが抱えている壺いっぱいくらいの蜂蜜が入っているんだよ」
 なんて意地悪を私は言わない。

 

(完)

 

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