たま
はちみつ
ハチミツ
蜂蜜・・・
ひらがなで書くかカタカナで書くか漢字で書くか
それぞれ印象が全く違う「はちみつ」
私はひらがなで書くのが一番「はちみつ」らしいと思う。
子どもの頃、家にはいつも大きな瓶ではちみつが常備されていた。
漫画や雑誌ではちみつに関するレシピを見て、思いついたように「はちみつある?」と聞くと、いつでもはちみつが出てくる家だった。
ローヤルゼリーもいつも冷蔵庫に置いてあった。
大学生になり実家を出て、一人暮らしで自炊を始めたころレシピを見ていると意外とはちみつを使うものが多い、
にも関わらず私の家にははちみつは置いていなかった。
買い忘れていたわけではなく、特別にはちみつを買う必要がないと感じていた。
例えば、カレーにはちみつ、なくてもカレーの味になる、唐揚げの甘辛たれ、砂糖でも代用できる…そう考えて敢えてはちみつを買うことはなかった。
そうして私は社会人になった。
会社では人間関係や仕事の難しさに悩み、つらい夜を過ごすことが多かった。
そんな時見つけたのが、はちみつを入れたホットココアのレシピだった。
私は5年ぶりにはちみつが家にある生活を再開したのだった。
はちみつを入れたホットココアを飲むといつもよりなんだか温かい気持ちになった。
とろっとしたはちみつをココアに入れる瞬間でさえ、心が和んだ。
そこではっと気が付いた。
はちみつは心を豊かにする食べ物であると。
他でも代用できるから買わない、なくても困らないという理由で生活から自然と遠ざかっていたはちみつだが、はちみつにしか引き出せない心の癒しがあると。
はちみつという文字を見ると、全体的に丸く優しい印象を受ける。
私にとってはちみつはこのひらがなのように温かい存在そのものなのである。
同時に、忙しい生活の中で切り捨ててしまいがちなもの、無くても困らないと思って見ないふりをしているもの、それらすべてに意味があり、生活を豊かにするまるで隠し味の調味料のような存在ということに気づかせてくれたたべものである。
(完)
蜂蜜エッセイ一覧 =>
蜂蜜エッセイ
応募要項 =>
Copyright (C) 2011-2025 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.