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蜂蜜エッセイ応募作品

妻を救った蜂蜜

三宅隆吉

 

 いつの頃からか、我が家には食後にデザートを食べる習慣ができた。多分私達が老境に近づいたころからだったと思う。
 今、デザートの主役は蜂蜜である。妻がいつの間にか、健康は食事からだと宣言し、健康に良い蜂蜜に漬かったものが食卓を占めている。
 蜂蜜の主成分はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)だ。ビタミン類やミネラル類、あるいはアミノ酸や酵素といった栄養素も豊富なので健康的な生活を送る上ではとても有効である。
 レモン、ニンニク、ショウガ類を浸けている。
 中でもレモンは庭に10年以上経つ木があり、毎年律儀に沢山の実を成らせてくれる。
 13歳になる孫娘の誕生を記念して植えたものだ。レモンの実を蜂蜜につけて、炭酸水で割って飲む。すっきりした気分になり夏の暑さ、冬の寒さ対策にはこれに勝るものはない。
 ニンニク漬けは臭みも抜け、ビールのつまみに最適だ。ショウガ漬けはお湯で割って飲めば身体が温まり冬の寒さ対策に重宝している。

 突然、医師に呼ばれた。
 妻が「がん」であることを告げられた。「まさか!」私はうろたえた。平常心を失っていた。
 手術後、妻が私の手を握り「できるだけ、長く側にいて下さいね」と言った。妻の目は潤み死を覚悟している。医学が今ほど進歩していない時代だ。
 病院食も受け付けず、急速に体重が減っていった。私も死を覚悟した。
 私は初めて夫婦というものを実感した。3人の子ども達も口には出さず、静かに2人の会話を聞いていた。

 妻が「蜂蜜を食べたい」と言った。
 蜂蜜は病状を一変させた。食欲を進め病院食も食べられるようになった。
 病院スタッフの献身的な努力、家族を残しては死ねないと言う妻の強い意思、そして蜂蜜のさわやかで豊潤な味覚が妻を救った。
 「蜂蜜よりおいしいものはない」と今でも妻は言っている。

 

(完)

 

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