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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

蜜色の人生

岡めい子

 

 蜂蜜のトリコになってもう数年が経ちます。毎日欠かさず口に運んでいますがどうしたわけかちっとも飽きがこないのです。そんな私と私の家族がこんなにも蜂蜜好きになってしまったのはほんとうに、ひょんなことからでした。
 季節の新しい花苗を買うために出掛けた花市場内の産直コーナー。何気なく立ち寄ったそこの一角には可愛らしく瓶詰された明るい橙色の蜂蜜が並んでいました。透明な硝子に貼られたラベルには、百花蜜、アカシア、季節のもの……と、それぞれが採取された花の種類が印字されており、それを眺めながらまだ知らない蜜の味を想像しては家族皆でうっとりしたものです。そうしてそのまま数個を購入し早速手近にあった食パンに塗ってみたのが全てのはじまり。口の中にじんわり広がる優しい甘さが心を多幸感で満たし、人の手によらないナチュラルな甘みはこんなにも柔らかいものなのかと感動すら覚えました。そんな得も言われぬ心地に包まれたらたちまち病みつきになって、気がつけば様々な専門店のものを試すなどして楽しむようになりました。
 ひとくちに蜂蜜と言ってみても、季節、蜜を集める花々、生産地によって全く違った風合いになる奥の深さに今もなお驚かされ、新しい瓶の蓋を空けるたびにこの新鮮な気づきと喜びに胸の高鳴りを感じます。また、美味しいだけでなく美容や健康にも嬉しい効果がとにかく沢山あるところも蜂蜜の大きな魅力です。以前ふと手に取った本によれば全身の至るところに使ってもよいのだとか。目薬として目に直接塗ることもできるらしく、いつか勇気が持てれば試してみたい使用方法のひとつです。ちなみに我が家では食パンにバターと蜂蜜をたっぷり塗ってトーストする、略して「ばたはち」が皆の大のお気に入りとなっていて、恐ろしいことに毎朝一人二枚はペロリと平らげてしまいます。その他にも喘息持ちの母は砂糖を入れないコーヒーに蜂蜜を掛けて寝る前に咳止めとして飲んでもいます。
 良いことずくめの蜂蜜ですが、ただひとつ、忘れてはならないのがミツバチが一生を掛けて集めることのできる蜜の量は小さなスプーン一杯程度だということ。人の手の親指の先ほどしかない小さな身体で飛び回り必死に集めてきた大切な蜜を頂いている、私はいつもこの気持ちを胸にそのひと口ひと口を味わうようにしています。そして忙しい日々の内でそんなふうに思いやる心のゆとりを持つことが、ひいては限られた自身の人生や生活を慈しむことにも繋がる気さえします。
 地球の自然が生んだ宝石のような食べもの「蜂蜜」、そしてそれを作り出してくれる愛しい「ミツバチ」たち。奇跡みたいなこの星の恵みに感謝しつつ、これから少しずつ新しい蜂蜜メニューのお気に入りを見つけられたら。蜂蜜と過ごすこれからの毎日がさらに豊かで満ち足りた優しいものになれば。今回このエッセイのために筆を執りながらそんな思いを強くした次第です。

 

(完)

 

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