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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

懐かしの蜂蜜レモン

ともひろみん

 

 私の母は、私を育てる上で、食べ物にとても気を遣っていました。汁物の出汁は、鰹節でとる、ジュースは砂糖がたくさん入っているから、飲むなら、果汁100%のものにするなど、母なりのこだわりがたくさんありました。
 私が高校3年生の受験期となる時は、レモンやミカンは頭の回転を良くするから、飲んでみなさい、と果汁を水で薄めたものを準備してくれました。
 ミカンはまだ飲めましたが、レモンはあまりの酸っぱさに、飲みきる事が出来ません。その事を母に伝えると、母は、大きな瓶に入った蜂蜜を購入し、ジュースに混ぜてくれるようになりました。
 蜂蜜は、酸味の効いたものに混ぜると、魔法をかけたように、味がまろやかになります。時々、混ぜ方が足りないと、コップの底に蜂蜜が溜まり、それをスプーンで絡め取って舐めるのもの楽しみの1つでした。レモンの香りと、後から現れる深い甘みは、辛い受験期を一瞬忘れるような、心地よい時間でした。
 時は流れ、私は、3児の母となりました。冬の寒い時期、いつも行く、八百屋に、レモンがカゴいっぱいに積まれていました。八百屋の奥さんに、「このレモン、おいくらですか?」と尋ねると、「ああ、これは、うちの畑で採れたレモンなんよ。何個か持ってき!」と言ってくださいました。
 久しぶりに、蜂蜜レモンを作って、子供達に飲ませてみよう、と昔を懐かしみながら、帰宅しました。
 子供達が出来上がった蜂蜜レモンを口にした時、3男だけ、クシャクシャに顔のシワを寄せています。「酸っぱい?もう少し蜂蜜入れようか?」と聞くと、3男は大きく頷きました。ジュルジュルっスポッと蜂蜜を足してあげると、スプーンで必死にかき混ぜ始めました。「もう、蜂蜜溶けたんじゃない? 」と言っても、スプーンで混ぜることをやめません。「いっぱい混ぜた方が、蜂蜜さんが美味しくしてくれるから!」という3男。ちょっと酸っぱいのを我慢して、最後に溶け残った蜂蜜を楽しんでいた私と違い、最初から最後まで甘く楽しみたいという、3男のしっかりぶりに、愉快さと愛しさが混じったような気持ちになりました。
 疲れた時、プールの試験で合格した時、嫌な事があった時も我が家では特別なひと時を過ごすために、蜂蜜レモンを作るようになりました。
 母が私を蜂蜜の力で応援してくれたように、子供達が笑顔になってくれるよう、これからも蜂蜜の暖かい力を家族と共有していきたいです。

 

(完)

 

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