蛙鮫
液晶画面の向こうで熊が蜂蜜を食べていた。
その周りを持ち主である蜜蜂が怒り狂った様子でぶんぶんと音を立てて、飛び回っている。
無理もない。彼らにとっては努力の証だ。
どこぞの獣にくれてやるために作ったわけではない。
彼らにとっては僕ら人間もおそらく熊同然だろう。
人類と蜂蜜の歴史はかなり長いと言われている。食事、薬用などの用途で使われてきた。
人類史にとって蜂蜜は切っても切れない縁と言っても過言ではない。
とはいえ、蜂達が巣を破壊されて怒るのには変わりはないけれど。
蜂蜜は熊によって食べ尽くされてしまった。巣も無残に破壊されて見る影もなかった。
しかし、数日後、復興作業に移っている姿が映し出された。
何と勤勉な姿だろう。僕は思わずため息が出た。
彼らも自分の子供や同胞を助けるために必死なのだ。
そうして彼らの切磋琢磨する美しさを象徴するように黄金の蜜が生み出される。
その日から僕は蜂蜜を見るたびにあの勤勉な蜜蜂たちの姿が目に浮かぶようになった。
(完)
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