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現在八六歳の母に似たのか、我が家の子どもはトマトが嫌い。
母は「ここまで大病せずに生きてこれたんだから、やっぱりトマトは必要なかった」としたり顔。
それを見て育った孫たちが、トマト嫌いになったのは自然の成り行き。なあんて鷹揚にしていられません。
トマト嫌いの家族を持った主婦の苦労を想像してみてください。正直に書きますと、嫌いなのは生のトマトだけ。ケチャップやミートソースはいけるんです。
しかしトマトのないお弁当。トマトのないサンドイッチにトマトのない野菜サラダ。寂しいですよね。しかも近年益 々その栄養価の高さが証明されてきているのに! そしてなによりもトマトって時短素材です。主婦の強い味方。切るだけですから。
ある日、どこかでひとつの知識を得ました。それは「トマトに少量のはちみつをまぶしておくと青臭さが抜けて高級トマトのようになる」と、いうものです。砂糖をかけた時は、トマト嫌い連に「それならいちごに砂糖をかけて食べたほうがいい」と不評でした。今回はどうでしょう?
そして、決行当日はグリーンサラダにしました。
「なんで? トマト乗っているんだけど?」
「私のサラダのトマトを誰か代わりに食べてちょうだい」
予想通りの抵抗に私は、
「このトマトは特別なの。騙されたと思って食べてみて」
毒をつまむようにして、トマトを食した家族は、
「ホントだ。いつものと違う。これなら大丈夫」
「あら、あなた、いいもの見つけてきたわね」
コツははちみつを少量にしてやや時間を置くこと。本当にトマトが美味しくなります。それ以来徐 々にトマトの登場回数を増やして、今では家族もトマトにためらうことがなくなりました。
はちみつのおかげで長年の問題解決です。たったひとつ残る問題は、いつ家族に、それははちみつ効果です。特別のトマトじゃありません、と告白するか? ということだけです。
(完)
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