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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

人見知りとはちみつ。

竹越香菜子

 

 「コーヒーをきらしてて、ココア、紅茶か、蜂蜜入りルイボスティーか…」
 幼稚園の後、息子の友達の家に親子でお邪魔している。
 息子は友達と嬉しそうに遊んでいる。
 割とお利口に遊んでいる息子に、
 「意地悪しないでよ、おもちゃは投げたらいけないよ」
と、“言葉だけ”を投げる。

 「おかまいなく…でもありがとう。蜂蜜のルイボスティーで…」
 ルイボスティーに蜂蜜を入れたのか?それとも蜂蜜入りルイボスティーとは元々そんなものが売っているのか?今何時だろ…上の娘が学校から帰るまでには帰らないと…遊びに来て何分経ったのか…

 初めてのお宅に子供と一緒にお邪魔した時の数分足らず、いや、数秒足らずの頭の中。

 リビングの上に広がるロフトから降りそそぐ息子と友達の楽しそうな声。こちらまで嬉しくなるような楽しそうな笑い声だ。

 同じ幼稚園に通う、息子と同じクラスの女の子。
 穏やかな性格が顔からも体格からも滲み出ているその子を見ていると、私の人見知りからの緊張も少しばかり和らいでくる。

 目の前にあるカップから漂う蜂蜜入りルイボスティーの匂い。
 ほんとに蜂蜜の匂いがする…ルイボスティーを沸かす時に蜂蜜を入れたのか、沸いてから蜂蜜を入れたのか?
 同じ疑問が頭の中で回転し続ける。
 いや、今はこんな質問をするべき時ではない。何か、何か話題はないか…

 「もうすぐ小学生ですね、心配ですね。」
 そこからは、ヤンチャな息子に目線で合図を送りながら、途中何度か立ち上がり注意もしながら、目の前の蜂蜜入りルイボスティーを飲んで時間が過ぎた。

 「そろそろ帰らないと。」
 息子に片付けをうながす。

 さようならの挨拶とお礼を伝える。

 2階リビングのそのお宅はお部屋の扉はエレベーターだ。
 そうか、この慣れないエレベーターのせいでいつも以上に緊張が増したのかもしれない。そんなどうでもないことをふと考えて、息子と二人きりになった空間でため息をつく。

 蜂蜜入りルイボスティーのため息と息子の満足気な表情。

 招いてくれたお友達親子とあったかいため息にありがとうの気持ちが溢れた。

 

(完)

 

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