はちみつ家 > 蜂蜜エッセイ

ミツバチと共に90年――

信州須坂 鈴木養蜂場

はちみつ家

Suzuki Bee Keeping

サイトマップ RSSフィード
〒382-0082 長野県須坂市大字須坂222-3

 

蜂蜜エッセイ応募作品

ここ、空いてますよ。

タインさん

 

 蜂と言えば、怖い。
 自宅の周りの室外機などにアシナガバチが毎年巣を作り、庭をブンブン飛び回るからだ。
 巣を作る場所は律儀に毎年違っており、窓のシャッターの隙間、庭の散水ホースなど、オリジナリティに溢れている。今年は探すの面倒だから、同じ場所にしようかなぁとは考えないのだから、なんだか生真面目だなと思う。
 ある年の夏には庭でアシナガバチ数匹を見かけたので、手に枯葉を集めるための竹製熊手を持ち、格闘したこともあった。対策を調べたところ、蜂は下を確認しにくいため、しゃがむと効果的と知ったので、しゃがんでやり過ごしながら、庭に近づいたときに追い払っていた。
 ただ、近所の人にとって、真夏に庭で熊手を持ち、振り回すランニング姿のおっさんは蜂よりも危ない存在だったかもしれないが。
 そんなアシナガバチを今年は全く見かけない。
 その理由は自宅真横のマンションが建替工事を始めたからだ。いつもの蜂御用達の通り道には工事車両や作業員が頻繁に行き来するため、通れなくなったのだと思う。工事が始まったとき、今年はこれで巣を作れないかもなと期待していたので、想定通りではある。
 でも、あんなに嫌だったアシナガバチも急に来なくなると、不思議と少し寂しくなる。今年はお宅にはお邪魔しないんですよ、とどこかで言っているのだろうか。
 「今年は日陰の良い場所が空いてますよ」とでも言いたい気分だ。
 ただ、贅沢を言えば、可愛らしいミツバチが巣を作ってくれないだろうかとは思う。それなら、蜂蜜を家賃代わりに少しお裾分けしてもらい、お互いに気持ち良く過ごせるかもしれない。けれども、ミツバチでも場所が悪いと、家賃の減額交渉をしてくるかもしれないなと妄想してみる。
 だったら、家賃は払わないけど、アシナガバチでも良いかなとも思えてくる。せめて間借りしてる大家さんは刺しませんと約束してくれるなら、歓迎できるのだけどな。
 とにかく来年はお待ちしてます。アシナガバチさんへ。

 

(完)

 

蜂蜜エッセイ一覧 =>

 

蜂蜜エッセイ

応募要項 =>

 

ニホンミツバチの蜂蜜

はちみつ家メニュー

鈴木養蜂場 はちみつ家/通販・販売サイト

Copyright (C) 2011-2024 Suzuki Bee Keeping All Rights Reserved.