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ミツバチと共に90年――

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蜂蜜エッセイ応募作品

シドニーの夜

宗 彩人

 

 二十年も前の話です。私は幼い娘と妹の三人でオーストラリアを初めて旅していました。コアラを抱っこし、オペラハウスを見て、順調に旅の最後の夜を迎えました。ツアーの皆さんと一緒に食事をとった後、帰りのバスの中で何やらかゆみを感じて、上半身を掻きました。しかしかゆみは収まるどころか激しくなる一方。ホテルに戻って鏡を見ると、上半身のいたるところが赤く腫れています。まるで地球儀の、海の中の大陸のようでした。これはたまらないと、ホテルのフロントで片言の英語を駆使して、ツアコンの女性の部屋を尋ねて、なんとかわかりました。そして女性の部屋を訪れて相談です。「病院に行くか、薬を買ってきたい」と。ツアコンの女性は、「西洋人と日本人は体質も違うので薬はお勧めできません。それから日本とは医療の制度も違うので病院は最後の手段にしましょう。ちょっと考えてみますからお部屋で待っていてください」と言われました。かゆみは増すものの、掻けば赤く腫れるので、とにかく我慢です。しばらくして部屋に来てくれた女性は、「まず化粧水です。殺菌作用もありますからこれで拭いてください。これはプロポリスです。父への土産で買ったものですが、体の内側から治す力があります。これに飲んでください。どうしても我慢できなかったら、連絡してください」と説明されて、プロポリスをもらいました。妹に体を拭いてもらって、プロポリスを飲みます。かゆみはあるものの、じっと我慢でベッドに横たわり、しばらくすると徐々にですが、かゆみは薄らいでいきました。おかげで睡眠をとることができ、翌朝にはかゆみは収まり、肌の上にできた大陸も消えました。女性は「今後のために」と言い、夕食で食べたものを確認していきました。どうやら原因はサバへのアレルギーのようです。その頃はその自覚はありませんでした。無事日本に帰ったあと、確認で少しサバを食べたところ、きっちりアレルギー反応が出ました。間違いありません。体調やらサバの鮮度やらの関係でアレルギーがでたようです。それまで自覚するほどでもなかったものでしたが、はっきり体が教えてくれました。お世話になったお礼の手紙を旅行会社宛で女性に送りました。旅行を楽しく終えることができたのは、親身になってくれたツアコンの女性と体の内側で働いてくれたプロポリスのおかげだと感謝しています。

 

(完)

 

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