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蜂蜜エッセイ応募作品

あまい記憶

大塚美香

 

 子どもの頃、食卓にはいつも蜂蜜がありました。
 朝食は毎日パンと紅茶が主役の洋食でしたので、ヨーグルトに入れたり、フルーツやパンにかけて食べていました。スライスしたバナナやメロン、いちごに蜂蜜をかけると、それだけでフルーツがランクアップしましたし、寒い日はすりおろした生姜と一緒に紅茶に入れて体を温めたりもしました。パンの表面に金色のしずくをを垂らすと少し固くなる感じがするのも、パンの塩気が一層引き立つのもたまらなく好きでした。メープルシロップの独特の風味が苦手な私は、ホットケーキには断然蜂蜜でした。バターの塩味とほどよく溶け合う口福なひととき。
 息子は小学生の頃、給食で出る小袋の蜂蜜を持ち帰る子でした。私はそれをフランスパンにのせていただきます。ところが息子は、しばらくすると蜂蜜を持ち帰らなくなりました。
 「はちみつ苦手だと思ってたんだけど、お母さんがあんまり美味しそうに食べるから食べてみたくなって、食べてみたら好きになってた。ごめんね。」
 と、あやまられてしまいました。そんな・・・好きになってくれてうれしいよ。でも私はどんな顔して食べていたんだろう?と思ってしまいました。
 結婚したての頃、夫は喉の弱い人でした。喉から風邪をひいて熱を出すことが頻繁にあったのです。そこで私は、夫の喉の調子が良くないなと思ったら、すりおろした生姜にレモンを搾って、熱湯を注いだ物に蜂蜜を混ぜて飲ませてみました。それからは発熱に至ることがなくなりました。早めの蜂蜜生姜湯で予防できるようになったのでした。
 これらのできごとはいずれも私の大切なあまい記憶です。
 でも今、家には蜂蜜が無い。気がついたら途端にあの金色のとろりとした液体に会いたくなりました。今から買いに行かなくては。どうやって食べたら良いかしら。やっぱりバターと合わせるのが一番のように思えます。それともマスタードと合わせてチキンに塗るのはどうでしょう。想像しただけで、もう美味しそうです。そうだフランスパンも買って来ましょう。私の口福な日々がまた始まります。

 

(完)

 

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