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蜂蜜エッセイ応募作品

スプーン1杯から始まる元気長寿への道

広河零千

 

今から25年ほど前、長野県旧四賀村の山間に父方の祖母が住んでいた。祖母は若くして夫を亡くし、女手一つで9人もの子供を育てあげた。99歳の天寿を全うし他界するまで、記憶力も抜群で、言葉も行動もかくしゃくとしていた。
祖母の健康の秘訣は、毎朝欠かさず小さじ1杯の蜂蜜を食べることだった。多過ぎることも少な過ぎることもなくこの1杯が、祖母にとってはちょうどよかったのであろう。亡くなる1週間前まで、50年近く食べ続けたという。
父も朝食に蜂蜜を食べ続け、早40年になる。父の朝食は決まって「はちみつトースト」だ。普段、料理は全て母がしているが、このトーストだけは、父が自分で用意する。カリカリにトーストした食パンに、長野産のアカシア蜂蜜を塗る。ふと父の顔を見ると、蜂蜜のように色つやがいい。そう言えば、長野の婆さんも、顔がツヤツヤしてたっけなあ…。 
この朝食を取った後、父は趣味の農作業でひと汗流し、採れた野菜は自宅前で販売する。近頃は、父のその元気にあやかりたいと、よく売れている。
父はその昔、こうり一つで上京した。豚小屋の隣の三畳間に安下宿し、薄給の一部を田舎へ仕送りしていた。
ある年の正月、帰省しようにも汽車賃がない。部屋に籠り、壁越しから聞こえてくる豚の鳴き声に、「お前たちも実家に帰らないのか」と話しかけていたという。そんな中、大家さんがやって来て、長野産のアカシア蜂蜜を差し入れてくれた。美しい黄金色。懐かしい信州。ふいに母親の姿が浮かんだ。
「頑張ろう…」
蜂蜜を見つめながら、父はそう呟いたそうだ。
そんな父も92歳、私は50を過ぎた。これからの人生を明るく元気に過ごすために、私も日々の食生活に、蜂蜜を取り入れている。蜂蜜入りのドリンクを作ったり、煮物料理に加えたり…蜂蜜の美味しさを心底楽しんでいる。
「蜂蜜」は、祖母から伝わる我が家の元気長寿の秘訣。いつまでも、親からもらった大事な体を、大切にしていきたいと思う。

 

(完)

 

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