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蜂蜜エッセイ応募作品

私の蜂蜜物語

廣瀬 慧子

 

幼稚園に通っていた頃の話だが、私は黄色いクマの絵本が大好きだった。主人公は食いしん坊で、特に蜂蜜には目がない。私はまだ、蜂蜜を食べたことがなかったので、想像するに、トロリとしていて、色はちょうどおばあちゃんがくれる飴玉のような黄色で、とにかく夢中になるほどおいしいらしい。クマはある時我慢できなくて、蜂蜜の壺に頭を突っ込んで食べてしまう。私は思った。そんなことをしたら、きっと、首から上は蜂蜜だらけだ。食いしん坊だから、顔に付いた蜂蜜も舐めてしまうだろう。でも耳の後ろの辺りはどうするのかな。ネコのように手を舐めてクルンと撫でて綺麗にするのかな。あぁ、その残りでもいいから、舐めてみたいなぁ……。
そして、小学生になった私は、ある日突然、蜂蜜と出会うことになる。給食のパンのお供にチューブ入りのそれが出たのだ。想像通りトロリとしていて、いい香りがした。白いパンといっしょに頬張った時の気持ちといったら、最高だった。一滴も残らないように力を込めてしぼり出した。もしそこが教室でなかったら、私はチューブの端をくわえチュウチュウ吸っていただろう。お砂糖とはまた違う甘さだ。夢中になるクマの気持ちがよくわかった。
家庭を持った今では、台所にはいつも蜂蜜がある。ヨーグルトにいれるのはもちろん、焼きたてのトーストに垂らすと、香りが立って一段とおいしい。その他、友人から教えてもらったレシピだが、大学芋を蜂蜜で仕上げるのは、我が家の定番料理だ。サツマイモを素揚げして上から蜂蜜をかけただけなのに、家族にも好評だ。
また、最近気がついたのだが、少し離れたスーパーには花の名前がついた蜂蜜が並んでいる。アカシアは名前を知っていても花は見たことがない。一番馴染みがあるのはレンゲだ。栗の花は図鑑で見たことがあるが、いわゆる花びらがある綺麗な花とはほど遠い。甘栗のような香りがするのだろうか。試したことのない蜂蜜はまだまだたくさんあって、是非食べ比べてみたいと思う。でも、もし願いが叶うのなら、絵本の中のクマの耳の裏をそっと舐めてみたいと、今でも密かに思っている。

 

(完)

 

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