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ミツバチと共に90年――

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予期せぬ痛い訪問者

ガンダム

 

今から30年ほど前、私は東北地方の福島県で大学に通っていた。といっても私は生粋の江戸っ子である。大学に入学と同時に都会のしがらみから離れてみたくなったのである。
大学1年の晩夏のこと、私は北国に一人旅をして大学が始まる日の前夜に帰宅した。当時私は福島の学生用の安アパートの2階で生まれて初めての一人暮らしを満喫していた。久しぶりの我が家で旅の思い出に浸る。私の楽しみの一つである。
あくる朝、私は久しぶりの大学に行く準備をする。家から最寄りの駅まで自転車で約10分。駅からほどよい距離で、飲み会があった際歩いて帰ると酔い醒ましになる、というようなことを言われて勧められた物件である。
玄関の扉を開けた瞬間だった。私の目の前を何かが飛んだ。反射的に私は左手で振り払い、扉を閉め家に閉じこもる。と同時に私の右目の少し下にチクっと痛みが走る。指や爪が直接刺さったのではない。しかしながら足止めされている場合ではなかった。大学に通学しなければならぬ。意を決して玄関を開け、鍵もかけずにそのまま階下へと下った。上を見てみると私の玄関の左上に茶色っぽい大きな物体があった。ミツバチの巣である。いつの間に出来たのであろうか。
思えば、私は朝早く家を出て大学に通い、その後バイトで帰宅は23時頃という生活が続いていたので、その間に出来たものだ。私は早速不動産屋に助けを求め、ミツバチの巣を駆除してもらった。
30年経った今でも、あのチクリとした痛みと下から見上げたおどろおどろしい巣は脳裏に鮮明に蘇る。しかしながら、ハチミツは当時よりももっと好きになっている。当時のあの痛み、あの巣を思い出しながら食するハチミツは格別である。

 

(完)

 

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